巨人は29日、ロッテ・サブロー外野手(35)を工藤隆人外野手(30)との交換トレードで獲得したことを発表した。28日までのチーム打率が2割3分1厘と、打線の低迷がリーグ4位という成績に直結していた。「つなぎの4番」の異名を持つサブローは、勝負強い打撃で昨年の日本一に貢献していた。獲得予定のロッキーズ傘下3Aのジョシュ・フィールズ内野手(28)に続く緊急補強第2弾だ。

 6月の緊急補強第2弾は、実績十分なクラッチヒッターだった。巨人清武GMが、郡山・開成山球場で会見。若さとスピード重視の外野手構成にしたいロッテと、とにもかくにも打撃力アップを求める巨人の思惑が一致した。サブローは、今日30日に東京ドームで入団会見を行い、背番号は「0」になる予定。2人の年俸差は、巨人が「工藤プラス金銭」で補う。

 サブローは「つなぎの4番」の異名を持つ。本塁打こそ09年の22本が最多だが、ここぞの場面で安打を放つのが持ち味。「下克上」と言われた昨季の日本一にも大きく貢献した。原監督も「非常に期待するところは大きいですね。胸を張って堂々と巨人軍に来て、彼のキャリアと技術というものを、発揮してほしいですね」と話した。

 登録名は本名の「大村」になる見込み。清武GMは「基本的に巨人軍としては、これまでヨシノブとか、シンノスケとか、そういう登録名はなかったので、原則をそのまま貫こうかなと思います」と、カタカナ名回避の意向を示した。

 5月入団の高橋信、23日に獲得が明らかになったフィールズに続く、シーズン中3人目の右打者補強となった。積極的な対処ともいえるが、シーズン前に効果的な補強をしなかった結果でもある。そもそも統一球による、想定を超える打撃不振が編成にも影響を与えた格好だ。清武GMも「今年はウチの攻撃陣が力を発揮できていない。ファンの方も歯がゆい思いをしていると思う。外部からの力を取り込むことで、強く刺激して、競争を激化させたい」と話した。

 ◆サブロー(大村三郎=おおむら・さぶろう)1976年(昭51)6月1日、岡山市生まれ。PL学園から94年ドラフト1位でロッテ入団。登録名はイチローを意識して入団時につけた。05年、阪神との日本シリーズでは「つなぎの4番」として全4試合で4番を打つなど日本一に貢献。昨年も自己最多の71打点でチームを日本一に導いた。07年にパ・リーグ2位の9打数連続安打をマーク。ゴールデングラブ賞2度(05、07年)。オールスター出場2度(02、09年)。昨年から、清水直行(現横浜)の後を受けて選手会長だった。181センチ、85キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1億3000万円。家族は夫人と2男1女。

 ◆工藤隆人(くどう・たかひと)1981年(昭56)3月30日、青森県黒石市生まれ。弘前実1年夏に甲子園出場。青森大-JR東日本を経て04年ドラフト9巡目で日本ハム入団。50メートル5秒8の俊足外野手。07年、ロッテとのCS第2ステージでは第3戦で満塁走者一掃の三塁打を放つなど打率3割1分3厘と活躍した。08年11月、マイケル中村投手とともに2対2トレードで巨人移籍(交換要員は二岡、林)。今季は1軍出場がなく、2軍で52試合に出場し98打数28安打(打率2割8分6厘)。171センチ、73キロ。左投げ左打ち。今季推定年俸2000万円。独身。