<オールスターゲーム:全セ9-4全パ>◇第1戦◇22日◇ナゴヤドーム

 顔面から滝のように汗がしたたった。全パ2番手の日本ハム武田勝投手(33)が記録的な撃沈。ダルビッシュ、マー君をも上回る前半戦のリーグトップ防御率1・21を誇る左腕が、苦笑の連続で放物線を見つめ続けた。5回1死から悪夢が待っていた。球宴ワーストの1イニング4被弾&8連打。初の夢舞台で、野球人生で「初めて」の炎上という未知の経験をした。お祭り舞台では珍しいKO劇を食らった。

 プロ6年目で初出場。地元の愛知出身で家族を球場に招待していた。幼少時は、大の中日ファン。「落合さん、今中さん、立浪さん、山本昌さん…、テレビで見ていましたね」と現実味がない、あこがれの場はほろ苦かった。

 秘めた誓いがあった。現代野球では、貴重な技巧派。「こういう選手でもプロでやれるんだ、というところを見せたい」とプライドをかけていた。今季は2リーグ制後初となる登板5試合連続完封負けなど記録的な1年を象徴する、晴れ舞台にはなった。「気持ちよく打たれました。いい勉強になりました。ありがとうございました」。全セの1発攻勢に負けないくらい痛快に、帰路に就いた。【高山通史】

 ▼日本ハム武田勝が1回1/3を投げ、4本塁打を含む10安打を浴びて9失点。これまで被本塁打の最多記録は1試合が過去8人の3本、1イニングも過去4人の3本で、武田勝の4本は1試合、1イニングともにワースト記録。5回に記録した1イニング8者連続被安打は00年第2戦小林雅(ロッテ)の7者連続、1試合9失点が08年第2戦成瀬(ロッテ)の8失点、1イニング8失点が00年第2戦小林雅の7失点を更新するワーストと、前半戦の防御率が両リーグトップ1・21の武田勝が散々だった。