<オープン戦:広島2-4ソフトバンク>◇25日◇マツダスタジアム

 4割打者が誕生した。オープン戦全日程が終了し、広島松山竜平外野手(26)の首位打者が確定した。この日は、4打数2安打で打率は4割3厘と12球団でただ1人の“大台”越えとなった。30日中日戦(ナゴヤドーム)で、初の開幕スタメンを果たすことは確実。コイのヒットメーカーが打線の軸となる。

 大台を越えた。3割9分7厘で迎えたオープン戦最終戦、地元ファンの前で12球団トップの打撃を見せた。3回2死一塁で、帆足の外角低め直球を呼び込んで、三遊間へはじき返す内野安打。5回1死二塁では、沈み込むスライダーを拾い右翼前に落とした。4打数2安打。打率は4割3厘で「前哨戦」を終えた。

 松山

 調子を崩さずに行きたい。毎試合出て、経験を積めて、結果を残せた。よい手応えでシーズンに入れます。

 チームで唯一、オープン戦19戦全試合に出場した。キャンプ開始時は、1軍ベンチ入りの当落線上だった。好調をキープし続け、チーム最多となる67打席を手にし、着実に結果を残していった。

 修正力も養ってきた。「最近、ちょっと(フォームが)崩れていた。引っ張りに行っていた」。20日の阪神戦(レクザム)以降に放った6安打のうち、5本が左方向への打球。一方で、12個の凡打に1本も逆方向の打球はなかった。打撃練習では、センター方向への打球を意識。球を呼び込めるようになり、変化球にも体勢を崩されなくなった。

 好調な打撃が、課題克服にも好影響を与えている。この日は、三塁でスタメン出場し、途中から右翼の守備に就いた。不安視される守備面も、今季から挑戦する三塁で失策は0。「余裕はないですけど、自信が付いてきました」。30日中日戦(ナゴヤドーム)で、初の開幕スタメンを果たすことは確実だ。

 松山

 そこ(開幕スタメン)は狙っていきたい。勝ち取ったかは、スタッフの判断ですけど。信じて待つだけです。(三塁手でも右翼手でも)どっちでもいいです。

 試合前には、球場に新たに設置されたカバのオブジェ「かーぱくん」の除幕式に参加した。勝率5割を願って建てられた代物。それを実現するには、松山のバットは欠かせない。首位打者の肩書を背負い、真価の問われるシーズンとなる。春の珍事とは言わせない。【鎌田真一郎】