ソフトバンク小久保裕紀内野手(40)が墓前に2000安打と連続日本一を誓った。2日、ダイエー時代の00年に間質性肺炎で亡くなった藤井将雄投手(享年31)の墓を訪れた。2000試合目で2000安打を達成した秋山監督より早い記録樹立をノルマに課した。チームは今日3日から楽天、西武のビジター6連戦を迎える。

 陶器で知られる佐賀・唐津へ愛車を駆った。藤井さんが高校までを過ごした故郷。小久保は唐津湾を望む小高い丘の上で眠る先輩へあいさつに訪れた。静かに手を合わせ、心の中から言葉をかけた。「いよいよシーズンが始まりました。また、優勝して秋に報告に来ます」。墓前での“対面”は昨年のリーグ優勝後、以来。例年は開幕前に足を向ける。今回は都合がつかなかったものの、開幕3連勝という土産を持参できた。

 背番号15を背負った藤井さんは病魔に侵されながら中継ぎとして、99年のリーグ優勝に貢献。最多ホールドのタイトルにも輝いた。しかし翌00年10月、ONシリーズの直前に他界。球団名がダイエーからソフトバンクに変わっても、福岡ヤフードームの一塁側ロッカーには「藤井コーナー」があり、球場の15番通路は「藤井ゲート」と呼ばれ、記念プレートがある。

 世代交代が進み、当時を知らない選手やファンも増えてきた。それでも小久保は強い気持ちで戦い続けた先輩の遺志に触れ、自らの使命を再確認してきた。シーズンが始まれば少々のけがでもグラウンドに立ち続ける。チームのため-。そんな当たり前の気持ちをこの場所であらためて思う。

 1日オリックス戦では今季初安打を含む2安打で、通算2000安打へのカウントダウンが始まった。残り36本。球団では00年の秋山監督以来の記録が迫る。同時に通算2000試合まで残り43試合。2000試合目で2000本を達成した秋山監督に対して、小久保は「少ない試合数で先に達成したい」とこちらも偉大な先輩を意識した。

 墓参りを終えると、再び海沿いの道を福岡空港へと走った。今日3日からの楽天3連戦(Kスタ宮城)に備え、仙台へ向かった。連続日本一へ。今年もまた先輩から戦う活力をもらった。【押谷謙爾】