<巨人2-1日本ハム>◇27日◇東京ドーム

 巨人星野真澄投手(28)が夢にまで見たプロ初勝利をつかんだ。2番手として4回から登板し、3イニング、パーフェクト投球。お立ち台に指名されると「(勝ちが)ついちゃいましたよ。もしかしたら、ついちゃうんじゃないかなって思っていたんですよね。『野球っていいな』って思いました」と、天を見つめた。

 高校1年のときに母良子さんを乳がんで亡くした。ヒーローに手渡された自身の背番号60のジャビット人形を手に言った。「クリアケース入れて、母ちゃんの、お墓の前に置きたい」。埼玉県内の墓で眠る母親の元へ報告に向かう。左ポケットに入れたウイニングボールは「おやじに渡したい。今まで一生懸命、育ててもらったんで」と、父親への感謝も口にした。

 初勝利は転がり込んできたものではない。課題だった制球力を克服するために試行錯誤を重ねた。去年よりも腕を若干下げ「スライダーでいつでもカウントが取れるようになったし、大きく曲げたり落としたりできるようになった」。四球を恐れる投球から脱却し、安定感が増した。そのスライダーはくしくも相手先発武田勝との合同自主トレで習得したものだった。

 「杉内さんからは『力むんじゃなくて、気楽に投げる方がいいよ』とアドバイスされた。山口さんの登板までの準備を見て学んだ」。1軍には生きた教材が山ほどある。育成出身の星野が持ち前のハングリー精神を貫いた先に「1勝」が待っていた。【為田聡史】