<DeNA2-1オリックス>◇28日◇横浜

 モノが違う!

 DeNA筒香嘉智内野手(20)が特大の4号先制2ランを放った。2回にオリックスのエース金子から、横浜スタジアムの右中間最上部に打ち込んだ。推定飛距離140メートルのえげつない打球で、オリックス戦の連敗を14で止めた。レイズ3Aの松井秀喜を知る中畑清監督(58)も、潜在能力は松井以上とあらためて絶賛。やっぱり、ホームランは野球の華です。

 度肝を抜く1発だった。2回無死一塁。筒香が金子の内角低め148キロをフルスイングで捉えた。舞い上がった打球は、右中間最上段の看板を直撃。推定飛距離140メートルの決勝4号2ランにも「あれが決勝点になってよかった。そんなに飛んだ感じはなかったです」と笑顔で言った。

 高卒での左の大砲と言えば、レイズ傘下3Aダーラムに所属する松井の名が挙がる。巨人入団時に打撃コーチとして指導した中畑監督は、筒香と比較し、こう評した。「松井は腰も股関節も、全てが硬かった。だから中腰にさせて徹底的にスイングさせたよ。あれで少しは柔らかくなったと思うけど、筒香にはそういう硬さが全くない。剛と柔の両方を兼ね備えてるから、すごい選手に化ける可能性は十分にある」。

 その素質に加え、筒香には貪欲に取り組む姿勢がある。今春、メジャー球団やサッカー日本代表も使用するトレーニング器具「パワープレート」を自費で購入した。振動によって筋肉を刺激し、トレーニング効果を高め、疲労をとる効果もあるマシンで約200万円。推定年俸1200万円の20歳には安くはないが、昨オフの米アリゾナでの自主トレでその効果を実感し、必要と判断した。現在は横浜スタジアムに設置。平野トレーナーは「あの年齢で、野球のために何が必要か、自分で考えている」と話す。

 オリックス戦の連敗を14で止める1発にも、中畑監督はさらなる成長を求める。今カードの打順は、これまでの3番ではなく6番。「筒香には3番でも同じ結果を出し続けてもらわないといけない。今までは打線の雰囲気を変えるための3番だったけど、今度は力で奪い取らないといけない」。厳しい言葉は期待が大きいからこそ。3年目の大砲は、飽くなき向上心で、高みを目指していく。【佐竹実】