<巨人2-0楽天>◇30日◇東京ドーム

 18番を背負った同士が歴史に残る投手戦を繰り広げた。巨人杉内俊哉投手(31)と楽天田中将大投手(23)。両投手の意識が生んだともいえるハイレベルな投げ合い。ソフトバンク時代の47から「球界の盟主」の18を背負った左腕が、巨人史に名を刻んだ。

 18番同士の戦いが、歴史の1ページをめくらせた。川口投手総合コーチの発言が、この日の試合を物語っていた。「マー君がノーヒットノーランを取らせてくれたよ。トップレベルの投手の戦いだから、こういうことが起きるのかな」。楽天田中の鬼気迫る好投があって、杉内の投球も化学反応したと、同コーチは感じていた。斎藤投手コーチも「すごいのひと言。マー君だったから、できたんじゃないかな」と、同じコメントを発した。

 杉内は前日29日の段階で、接戦になることを想定し「僕が頑張れば投手戦になる。覚悟を持ってマウンドに上がっている」と話した。「覚悟」の2文字に、18番の強いプライドを感じさせた。

 対田中は5戦0勝4敗。「まさか、相性の良くない楽天からノーヒットノーランできるとは、全く思っていませんでした。相手は田中マー君でしたので、今までの成績を見ると1勝もしていないので『何とかチームに勝ちが付くような投球を』と思ってマウンドに上がって、信じられない感じですし、チームが勝ったことがすごくうれしいですね」と、「楽天の18番」への意地をにじませた。

 受けた阿部も「(味方が簡単には)点が取れないって分かっていただろうから、絶対に点を与えないという気持ちが強かった」と、18番の「覚悟」を代弁。杉内は、昨年のFA交渉の席では「巨人の18番の新たな歴史を作る」と意気込み、新天地に飛び込んだ。まさに巨人の歴史を動かした、2時間1分の劇勝だった。【金子航】