<楽天6-0ソフトバンク>◇29日◇Kスタ宮城

 「マー劇場」の完璧な引き立て役だった。ソフトバンクが楽天田中に散発5安打で、3戦連続の完封負けを食らった。これで田中には5連敗。「マー君?

 そんなによかったかな。去年の方がよかったと思うけどな」。秋山監督の強がりは負け身に染みる。5連敗中に奪ったのはわずか1点。昨年8月27日の対戦から27イニングもゼロが並び続けては、さすがにこたえる。

 7回まで二塁すら踏めない。唯一訪れた8回1死満塁のチャンスは逆に「主演男優」の力を証明する名場面となった。小久保裕紀内野手(40)が代打で登場も、140キロ台の高速スライダーに2度空を切らされ、最後は外角直球で空振り三振。明石は2ボール1ストライクから3球ファウルで粘りながら、151キロ直球で左翼ライナーと力負けした。小久保は「初球の読みがズバリ外れた。みんながお膳立てしてくれたのに申し訳ない」と頭を下げるしかなかった。

 打線が突破口を開けず、緊張感に押し切られるように、山田が先に失点して崩れた。6月のチーム防御率2・18はリーグ1位、チーム打率2割9厘は逆にリーグ最下位。「投高打低」が引き起こす典型的な敗戦ストーリーだった。13試合連続本塁打なしで、2リーグ制後の球団ワースト記録を更新という余計なエピソードまでついた。

 借金3。6月は8勝9敗2分けと3カ月連続で勝ち越しなしが確定。試合後、細川の出場選手登録抹消と左手首捻挫だった松中の昇格を決めた。カンフル剤を打って、打線の立て直しを図る。【押谷謙爾】