<中日4-1阪神>◇3日◇ナゴヤドーム
万感の91歳対決だった。阪神の44歳金本知憲外野手が、球界最年長、47歳の中日山本昌投手と最後の真剣勝負に臨んだ。1-2の4回無死満塁で、二飛に倒れた。試合は敗れ、5位が確定。阪神の歴史を彩ってきた鉄人は、引退まであと2試合となった。
役者はそろっていた。だれもが待ち望んでいた場面だった。4回、無死満塁。「代打金本」が告げられた。マウンド上には47歳・山本昌。44歳・金本との「91歳対決」が今季最後の竜虎決戦で実現した。敵味方を超えて、ナゴヤドームが沸いた。
金本は初球、外角のスライダーで1ストライク、その後、直球2球で1ボール2ストライクと追い込まれた。そして、勝負球は真ん中高めの直球。135キロを打ち上げて二飛に倒れた。
「山本昌さんと言えば、シンカー、シンカーで揺さぶって、スライダーで勝負だった。それを想像しとったけど、まさかの真っすぐ勝負。しかも、それがきていた。キレていたから甘い球を打ち損じてしまった」
これまで幾多の勝負を繰り広げてきた名投手との最後の勝負。ここに41歳の谷繁が加わって、円熟味はさらに増した。力と力、技術と技術のぶつかり合いに、腹の探り合いも加わった極上の1打席だった。裏をかかれ、打ち取られた金本は悔しそうに顔をしかめながらも、どこか、うれしそうだった。
「山本昌さんと言えば、思い出すのは、まだ、広島の時のことだな…」
そう言うと、球界最年長投手との思い出を語り始めた。ある年の広島対中日戦で、2死二塁の場面、先発山本昌と金本の対決になった時だという。
「昌さんがオレを歩かそうとしたら、ベンチから星野さんが『バカヤロー、金本勝負だ』って怒鳴ったんだ。それで、嫌々みたいに昌さんが勝負したんだけど、オレが思いっきりタイムリーを打った。そしたら、昌さんがふてくされた顔で、ベンチをにらんでた。それが印象にあるなあ」
金本は懐かしそうに笑いながら、こう付け加えた。
「中日で言えば、昌さんとか、今中とかを打って、左投手を打てる自信がついたなあ」
真剣勝負の中、互いを高め合ってきた者同士にしか共有できない感情なのだろう。試合前には山崎が握手を求めてきた。谷繁が花束を渡してくれた。戦友たちが見送ってくれる花道。残すは、あと2試合だ。【鈴木忠平】
▼金本44歳、山本昌47歳の91歳対決が実現した。過去の最高齢対決は48歳浜崎(阪急)と48歳湯浅(毎日)の両投手が先発してお互いに打席に立った50年11月5日の計96歳で、それに次ぐ高齢対決記録となる。両選手は今年4月15日(甲子園)、7月12日(甲子園)の2試合で山本昌46歳、金本44歳の計90歳で2度対戦しており、1歳更新した。



