日本ハムの中田翔内野手(23)が22日、主力として初めて出場する日本シリーズ(27日開幕)へ向けて、異例の球場ランニングで早くも“戦闘モード”のスイッチを入れた。

 この日から始まった本拠地・札幌ドームでの全体練習。開始1時間前の閑散としたスタンドに、滴る汗を拭おうともせず、無心に走る背番号6の姿があった。驚いた島田球団代表が「慣れないことをすると、ケガするからやめなさい」と、思わず注意してしまうほどの珍しい光景。20~30分ほどランニングで体を温めた中田は「気分転換。走りすぎたかな…。気持ち悪い」。周囲から「槍(やり)が降る」と冷やかされながらも、充実の笑顔で大舞台へ向けた調整をスタートした。

 4番としては「自分の1発で勝てれば最高。土壇場で打てるという試合があればいいですね」と模範解答をしたものの、本音は別のところにある。「俺はどっちかというと、守りの方が大事だと思う。守備の隙が大量失点を生むからね」と、短期決戦では守りを重視する。日本ハムは、堅い守りから攻撃につなげるのがうまいチーム。そんなチームカラーを考慮し「二塁打にならないように、しっかり一塁で止めたい」と、今季パ・リーグトップの19補殺を記録した左翼からの“中田ビーム”で大舞台の主役を狙う。

 入団以来「課題は守備」と言われ続けたが、今や、糸井、陽岱鋼らと球界屈指の鉄壁外野陣を形成するまでに成長した。日本シリーズは、豪打だけのイメージを覆す大チャンス。プロ5年で培った守備で、まずは、全国のファンの度肝を抜く。【中島宙恵】