ソフトバンクが今季国内FA権を取得したオリックス寺原隼人投手(29)を獲得することが10月31日、決定的となった。寺原はこの日、オリックスに権利を行使することを通告。移籍を前提にしているとみられる。獲得調査を進めていたソフトバンクにとって有力なライバルはおらず、大きな戦力が加わる見込みとなった。(金額は推定)

 V奪回を目指すソフトバンクにとって、朗報となるはずだ。オリックス寺原が、球団側に権利を行使する意思を伝えた。オリックスは交渉を継続する姿勢だが、退団は確実となった。

 ソフトバンクは、寺原がFAとして公示され次第、交渉を申し入れる。オリックスは2年2億円を提示したが、4年4億円を基本線に口説き落とす。本人が希望すれば、現在つけている背番号「20」も用意する可能性もある。有力なライバル球団はおらず、すんなり入団がまとまる見込みだ。

 寺原が加入すれば大幅な戦力アップとなる。杉内、和田、ホールトンが抜けた今季、3人合わせた43勝の穴は大きく、3位に沈んだ。勝利数は88勝から67勝にダウンし、先発陣の整備は大きな課題の1つになっている。寺原は昨季自己最多タイの12勝をマークしており、先発ローテーションの一角を任せられる。

 先発が整備されれば、救援陣の負担も軽減できる。右肩を手術した馬原はブルペン入りの時期も決まっておらず、岡島はメジャー復帰を表明。ファルケンボーグ、森福にこれ以上負担をかけられない。寺原自身も横浜時代の08年に22セーブをマークしており、チーム状況によっては抑えも任せられる。石渡茂編成部長(64)は「今オフの最重要補強ポイントは先発、後ろ」と話しているが、1人で条件を満たすのが寺原だ。

 寺原にとって、ソフトバンクは古巣だ。06年オフに多村とのトレードで横浜に移籍したが、当時、石渡編成部長は「将来帰って来いよ、何らかの形で」と話したという。

 寺原は今季、腰痛や右肘炎症の影響で登板16試合、6勝8敗に終わったが、まだ29歳と若く、十分に再生可能。たくましく頼れる右腕に成長した右腕が、再びホークスのユニホームに袖を通す日が近づいた。

 ◆来季の先発陣

 今季17勝で沢村賞に輝いた摂津が軸となる。シーズン終盤の安定感からすると大隣、武田が続き、山田、新垣、陽耀勲らもローテ候補。岩崎は中継ぎ転向の可能性もある。1試合登板に終わった帆足や新外国人投手は不確定要素も多く、寺原がローテに定着する素地は十分にある。

 ◆寺原隼人(てらはら・はやと)1983年(昭58)10月9日、宮崎市生まれ。日南学園3年時の01年夏の甲子園、玉野光南戦で当時高校生最速の158キロを計測。01年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)入団。06年オフに横浜、10年オフにオリックスへトレード。179センチ、87キロ。右投げ右打ち。