阪神がオリックス日高剛捕手(35)を獲得することが2日、決定的となった。海外FA権を保有する日高は出場機会を求めて権利行使することが判明。捕手補強に乗り出していた阪神は宣言後に即アタックする。オリックスも引き留めに必死だが、日高の決断次第では、早ければ第1回交渉で「虎の日高」が誕生する可能性も出てきた。

 阪神にとって最大の弱点である捕手補強にメドが立った。日高がこの日までにFA宣言する意思をオリックス球団に伝えていたことが判明。日高について問われた南球団社長は「GMに任せていますから」と前置きしながらも「(獲得に乗り出すのであれば)ストップすることはない」と、日高獲りにGOサインを出していることを示唆した。

 また、中村GMも秋季キャンプが行われている高知で「今、初めて聞いたので検討しておきます。手を上げて(FA宣言して)から」と話した。球団は宣言した場合、すぐにアタックする方針を固めた。正捕手を探している阪神と、出場機会を求める日高と双方の目指すところは一致しており、獲得は決定的な状況だ。

 阪神は城島、藤井彰の故障で正捕手が不在という緊急事態となった今シーズン中、オリックスとのトレードで日高獲得の可能性を探った。ただ、合意までには至らず。結局、捕手に不安を抱えたまま、5位という惨敗に終わり、課題をオフまで持ち越していた。

 日高も、岡田前監督からリード面を酷評されるなど、ここ3年間は控え捕手に甘んじており、今季も開幕を2軍で迎え、52試合の出場にとどまった。強打の捕手は出場機会に飢えている。それだけに移籍交渉もスムーズに運ぶこととなりそうだ。

 また、FA補強の場合、いかに相手球団への補償のリスクを減らすかが焦点となる。中村GMは日高について「FA補強はランクによるよな。あまりリスクは負いたくない。彼(日高)はどのランクだ」と報道陣へ逆質問。Cランクだと知らされると、納得したようにうなずいた。

 日高の今季推定年俸は4000万円で「Cランク」となるため、金銭、人的ともに補償は発生しない。今オフ、捕手補強を最重要課題としていた球団は、同じくFA権を保有している中日の司令塔・谷繁(同1億8000万円)の獲得調査もしていたが、よりリスクの少ない日高にシフトした。

 ここ数年、チームのアキレス腱(けん)にもなっていた捕手問題。解決への有力な一手として、日高獲得へ向かう。

 ◆日高剛(ひだか・たけし)1977年(昭52)8月15日、福岡県生まれ。九州国際大付から95年ドラフト3位でオリックス入団。98年に1軍デビュー。00年から9年連続で100試合以上出場。08年に打率2割6分9厘、13本塁打をマークするなど打撃面でも定評がある。182センチ、88キロ。右投げ左打ち。今季推定年俸4000万円。

 ◆FA補償

 FA選手を獲得した球団は、その選手の年俸が前所属球団の日本人選手上位10位以内(3位以内Aランク、4~10位はBランク)の場合(1)選手+金銭(人的補償)(2)金銭、のいずれかを補償する義務が生じる。今季推定年俸4000万円は11位以下のCランクに属しており、金銭的、人的補償はいずれも不要となる。