日本野球機構(NPB)は19日、ヤンキースからFAとなったイチロー外野手(39)と黒田博樹投手(37)がワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表入りを辞退したと発表した。これで出場を要請していた大リーガー6人全員の不参加が決定。今後新たに大リーガーを招集する予定はなく、侍ジャパンの山本浩二監督(66)は「純国産」のメンバーで3連覇へ挑むことを明言した。12月4日に日本代表候補33人が発表される。

 大リーガーの不在を推進力へと変える。イチローと黒田の出場辞退が発表され、代表入りを要請していた6人全員の不参加が決まった。山本監督は談話を発表し「非常に残念ですが、彼らが抱えている事情や気持ちは理解できます。イチロー選手は(過去2大会で)世界一に十分に貢献してくれましたし、日本代表のために尽くしてくれた功労者であることに変わりはありません」と、決断を静かに受け止めた。

 痛手であることは間違いないが、これまで眠っていた侍ジャパンの新たな力を引き出すチャンスでもある。山本監督はすでに気持ちを切り替えている様子で「この(早い)時期に結論が出てよかった面もあります。我々としては国内組で、より一体感を強めて3連覇に向けて戦っていく気持ちが高まりました」と、前向きにコメントした。

 大リーガーはレギュラーの座をほぼ約束した形で迎え入れるため、不調でも簡単に控えには回せない。過去、レギュラーシーズンへの影響を心配する所属球団から練習内容について細かいチェックが入ることもあった。こうした配慮が「特別扱い」と受け取られれば、国内組との間に溝が生まれるケースも考えられる。

 しかし、オール国内のチーム編成なら、完全実力主義を貫くことができる。現時点で定位置が約束されているのは主将に任命された巨人阿部ぐらいしかいない。平等な立場での競争が個々のモチベーションを上げ、全体の底上げにもつながる。チームの「和」や「結束」という意味では、大リーガーの不在がプラスに作用する可能性が高い。

 新生ジャパンの初陣となったキューバとの強化試合で、それは確信へと変わったようだ。山本監督は「選手たちは、自分の持ち味を出そうと必死にプレーしてくれた。みんな代表入りしたいと思っている。そういう気持ちがすごく伝わってきた」と、うれしそうに振り返った。連勝したことよりも、選手たちの心意気を再確認できたことが、何より大きな収穫だった。代表に対する真っすぐな思いを1つに束ね「メード・イン・ジャパン」の底力を世界に示す。【広瀬雷太】