阪神伊藤隼太外野手(23)が11月30日、兵庫・西宮市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、100万円減の年俸1400万円(推定)で一発サインした。ドラフト1位入団の野手が1年目に減俸で更改したのは球団初(66年2次ドラフトを除く)。会見場で笑顔はなく、「期待されて入ったにもかかわらず、やっぱり年間を通して、上で戦力になれなかったので、仕方ないかなと思います」と悔しさを押し殺して苦悩の1年を振り返った。

 即戦力ルーキーとして鳴り物入りで入団。阪神の新人外野手では40年ぶりとなる開幕スタメンに名を連ねたが、開幕カード後に2軍降格。プロの壁にぶち当たった。9月27日ヤクルト戦(神宮)ではプロ1号となる満塁弾を放ったが、22試合で打率1割4分8厘、5打点と期待を裏切った。

 高野球団本部長は満塁弾について「評価はしているが、1本ホームランを打ったからといって、ご祝儀みたいなのはない。期待している選手なので普通に評価してダウン」と説明した。

 伊藤隼は「オフの間も技術的な練習を減らさずに、1日も休まないつもりです」と無休トレを宣言。「1年間を通して上で活躍することで、おのずと数字はついてくると思う」と話した。

 会見の終盤、小さな声で言った。「何もやってないんで、今年は…」。来季の汚名返上を胸に期した。【岡本亜貴子】