阪神鳥谷敬内野手(31)が7日、兵庫・西宮市内の甲子園球団事務所で契約更改に臨み、2000万円減の年俸2億8000万円(金額は推定)でサインした。プロ9年目で初減俸にも潔く判を押し、サバサバした表情で会見場に現れた。

 「チーム成績も個人成績も悪いので当然だと思う」

 チームは5位に低迷し、打率2割6分2厘、8本塁打。一方で両リーグ最多の94四球にチーム2位の15盗塁を決め、4年ぶりのフルイニング出場も達成した。主張できる部分がないわけでもなかったが、減俸を受け入れた。野手キャプテンとしての覚悟がにじみ出た。

 「金本さん、城島さんが引退されて、球児さんもメジャーに挑戦する。5位で終わりたくはなかった。来年はなんとか優勝したいという気持ちで残った」

 今オフはメジャー挑戦も視野に悩み抜いた末、海外FA権を行使せず残留。球団から複数年契約を提示される中、単年契約にこだわった。来オフ、再びメジャー挑戦を視野に入れる可能性を残すという以上に、退路を断ってV奪回を目指したい思いが強い。

 「いろんな可能性を残して、自分を奮い立たせてやりたいので、単年でお願いした。個人的には悔しさをバネに、今までの成績すべてを上回りたい」

 来年3月に開催されるWBCの代表候補。本職の遊撃以外に二塁、三塁守備も期待される。山本代表監督から電話で「いろんなポジションをやってもらう」と説明を受け、「必要とされるところで力を発揮できたら」と“何でも屋”OKを宣言。世界を舞台に暴れ回った後は必ず、虎をV奪回に導く。【佐井陽介】