“上原フォーク”で本戦切符をつかみとる。WBC日本代表候補の広島今村猛投手(21)が6日、代表生き残りのカギを明かした。佐賀・伊万里市内で野球教室に参加。2月の代表合宿では、上原浩治投手(37=レッドソックス)を理想とする高速フォークで結果にこだわる考えだ。昨季終盤から操る新球を武器に、最年少侍戦士を目指す。

 WBCイヤーが幕を開けた。2月の代表合宿に最年少で参加する今村も、勝負のときを1カ月後に控え実感がわき始めている。マイペースな男が代表生き残りへの意気込みを語った。

 「アピールが必要だし、しっかり結果を残していかないといけない。元気とかではなく結果だけです」

 4日から地元の長崎・佐世保市内で始動。手元に届いたWBC公式球でのキャッチボールを行った。シーズンで使用する統一球より滑りやすく、得意球のスライダーについても「キャッチボールでも抜けますね」と苦戦。そこで、カギとなるのが新球だ。

 「はさんだりするボールは変わらない。武器になると思います」

 力説したのは、昨年9月から多投するようになったフォークだ。プロ2年目に投球の幅を広げるため習得に乗り出した。大野前投手コーチなどに助言を求め改良を重ね、ゲームで使えるレベルに達した。140キロに迫るスピードで打者の手元で鋭く落ちる。小学生のころ見ていた理想のフォークを再現している。

 「(理想は)巨人のときの上原さんです。落ちる大きさよりも、球速以上に速く見える。空振りは取れなくても、詰まらせたりもできると思います」

 06年WBCで世界一に貢献するなど、国際舞台で力を発揮している右腕が、その威力を証明済みだ。

 野球教室では打撃投手を務め、約100人の参加者に約400球を投げ続けた。心と肩と秘策を温め、コイのヤングセットアッパーが満を持してサバイバルに挑む。【鎌田真一郎】