何とも複雑な必勝祈願の実現だ。中日が16日、愛知・犬山市の成田山名古屋別院大聖寺で必勝祈願を行った。ところが祈念したのは阪神ドラフト4位小豆畑真也捕手(24=西濃運輸)の父で、同寺法教部長の照観さん(54)。4日には同所で息子とその野球道具を祈念したばかりだった。

 「どちらに御利益が強いかとかではなく中立の立場で、どちらも力を出せますようにとご本尊さまにお願いしていますので」。照観さんは同寺の僧侶20人を束ねる長。星野監督時代から中日の必勝祈願を行ってきた。

 でも息子の阪神入りで中日はライバル球団に。内心、困っている?

 だが照観さんは柔和な笑みを絶やさず、仏の道は「中立」。ブレないお方だった。

 もちろん息子の活躍は願ってやまない。「藤浪君をリードさせてもらう姿が見たいですね」。一方、インフルエンザでダウンした高木監督も「早くお元気になっていただきたい」と気遣った。中日も指名候補に挙げていたが、ドラフトでは指名順が先の阪神にタッチの差でさらわれる因縁も…。御利益は、さていずこへ。【松井清員】