野球がイニング短縮で五輪復帰を狙う。国際野球連盟(IBAF)と国際ソフトボール連盟(ISF)は14日、都内で統合団体「世界野球ソフトボール連盟(WBSC)」を設立したと発表した。20年の夏季五輪での競技復帰を目指し、男子の野球と、女子のソフトボールがタッグを組む。実施競技の候補が絞り込まれる5月下旬の国際オリンピック委員会(IOC)理事会では、野球の7回制導入など時間短縮の方策をアピールすることを決めた。

 WBSCの共同会長となったIBAFのフラッカリ会長とISFのポーター会長は、五輪復帰に向け並々ならぬ決意を示した。フラッカリ氏は「歴史的な日だ。五輪復帰への重要な地点にたどり着いた」と笑顔。ポーター氏は「五輪復帰のため、1つになった。試合時間の短縮、テレビ放送のため、いい時間にしていく。ルールの変化にも柔軟性を持っていく。できるだけ短くしたい」と、五輪での7回制の意義を強調した。

 IOCには以前から、試合時間が長過ぎるなどの指摘を受けていた。それに呼応した形で懸命にアピールした。7回制については選手を送り出す側の大リーグ機構(MLB)、大リーグ選手会、日本プロ野球組織(NPB)などとは合意前の段階。それでも五輪復帰に向け、できることはやるという姿勢を打ち出した。

 試合時間の短縮だけでなく、開催期間の短縮のため、参加チームは8チームに絞る。経費削減のため、野球とソフトボールは同じ会場。6日間で野球を終え、すぐにマウンドを撤去してソフトボールを6日間開催する。テレビの視聴率に深く関わるトップ選手の出場を促すため、大リーグ機構と、準決勝と決勝に出場が可能かを協議しているとも強調。王ソフトバンク球団会長はIBAF総会に出席し、IOC委員が見守る中、「野球を世界に普及させるためには五輪の採用が一番。プロ、アマ野球とソフトボールにかかわらず、心を1つにすれば、必ず成し遂げられると確信している」と呼び掛けた。

 IOCへの影響力が強い欧州では野球は依然としてマイナースポーツの域を脱していない。レスリングなどライバルは強力。実施競技の候補が絞り込まれる5月下旬のIOC理事会では、ルールの変更も辞さない覚悟を最大限アピールし、IOC委員の判断を待つ。【斎藤直樹】

 ◆公認野球規則

 4・10「正式試合」で、正式試合は通常9イニングからなると明記されている。例外として、ホームチームが9回裏の攻撃の全部、または一部を必要としない場合や、球審がコールドゲームを宣告した場合などが挙げられている。