<オリックス2-1DeNA>◇19日◇京セラドーム大阪

 今度は、プロ初アーチが決勝弾だ。オリックス山本和作内野手(26)が、プロ初本塁打を放った。7回、糸井4号ソロで同点に追い付き、2死となって打席に入った山本が、DeNA三嶋のスライダーを左中間スタンドへ放り込んだ。打った本人も「まさか入るとは思わなかったので、行け!と叫びました」と驚いた一撃だった。

 9日のソフトバンク戦で初のサヨナラ打を決めたばかり。わずか10日で再びの快挙だ。サヨナラ打は森脇監督から「打つ夢を見た」と予言されていたが、本塁打は自分自身がいつかは、と夢見ていた。それを現実にして「チームを勝利に導けて最高です!」と満面の笑みを見せた。

 08年、巨人の育成選手からスタートし、今季オリックスへ移籍。プロ初安打から始まり、初サヨナラ打、そして初本塁打。はい上がってきた男の執念がこもった初アーチは、スタンドで母恵子さんが見届けた。毎年、母の日には花束を贈る孝行息子は、今年も試合後に川西市の実家に立ち寄った。この日の1発は、1週間遅れの、母の日の特別なプレゼントとなった。

 巨人に育成で同期入団し、昨年ソフトバンクに移籍した福元も、15日の広島戦で初安打を放った。同じ境遇を過ごしただけに「うれしかった」という。自分が打ったときにもメールで祝福を受け、互いに刺激を受けている。

 サヨナラ打の記念球は、プロ初勝利の佐藤達に譲った。この日のホームランボールは、自宅に飾るつもりだ。新星の登場でオリックスが、中日と並んで交流戦同率首位に浮上した。【高垣誠】

 ◆山本和作(やまもと・かずなお)1986年(昭61)9月21日、兵庫県生まれ。尼崎工-大経大を経て08年育成ドラフト3位で巨人入り。11年5月に支配下登録されたが左膝蓋(しつがい)骨骨折で同年オフ再び育成契約に。12年7月、2度目の支配下登録。同年オフに交換トレードで東野とともにオリックスへ移籍。182センチ、82キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸550万円。