<中日4-2阪神>◇29日◇ナゴヤドーム

 やつ当たりもしたくなる!?

 阪神が、若手に切り替えた中日に競り負け、4連敗。9月だけで借金10(6勝16敗2分け)と負け込んだ。月間2桁借金は14年ぶりの屈辱だ。力投報われなかった先発ランディ・メッセンジャー投手(32)が試合後、球審のジャッジに「ヘタクソ」と痛烈に批判。3位広島は3ゲーム差に接近。勝てないイライラはファンだって同じ。何とかしてや!

 いら立ちを抑えることができなかった。最悪のチーム状態を象徴する大崩れ。大黒柱のメッセンジャーも屈した。競り負けて、引き揚げるバスの手前で、顔を紅潮させてまくし立てた。「試合全体が残念だった。下手くそな審判はひどいと思うし、あんな形で点を取られて、非常に納得いかない」。不満の矛先は杉永球審に向かった。敗戦の弁を語る前に、あからさまなアンパイア批判を展開した。

 「ナーバスというか、怒りだね。ストライクとボールの判定は難しくないと思う。こりごりだというか、よく分からないよ。ずっとこんな感じだろ?」

 粘りきれなかったのは同点の8回だ。先頭岩崎に4球続けてストライクゾーンから外れる。あっさり四球を与え、勝ち越しの走者に二盗と犠打で一気に三塁まで進まれた。1死後、平田への外角低めの球は4球連続でボールの判定。中西投手コーチがマウンドに向かい、間を取っても変わらない。2死後には堂上剛も歩かせる。3四球で満塁のピンチを招いた。自制心を失い、運にも見放された。

 代打大島のボテボテのゴロが二塁内野安打になり、その間に2者が生還。「自分のボールは良かったと思う。内野安打で2点取られて、試合に負けたということ。そんな感じさ」と吐き捨てるように言った。来日最多の13勝目を目指すマウンドは序盤からリズムを乱されていた。2回にもストライクの判定で不満げな表情を見せていた。

 5回、堂上剛に右翼へ勝ち越し弾を浴びたあと、8回の独り相撲で敗れた。中西投手コーチは「ボールは良かったよ。メッセを責めることは何もない。ただ、審判とゾーンが合っていなかったな」と振り返る。この日は5奪三振。今季、176三振に積み上げてリーグ1位は保ったが、後味の悪さだけが残った。

 シーズン終盤の大失速は深刻だ。4連敗でいまだに2位を決められず、3位広島に3ゲーム差まで迫られる緊急事態だ。9月は6勝16敗2分けでついに借金10。慢性的な貧打を安定感抜群の投手陣が必死に支えてきたが、この日は9月好調だった頼みのメッセンジャーまで倒れた。助っ人の審判批判はチームに充満する鬱憤(うっぷん)そのものだろう。先発陣も共倒れすれば…。先行きに、不安は募る一方だ。【酒井俊作】

 ▼阪神は4連敗で69勝65敗4分けとなり、貯金が4となった。これは5月6日巨人戦に勝って18勝14敗1分けとして以来。また3位広島とのゲーム差は3に接近。3位と3差以内は、5月7日にDeNAと2.5差以来。また阪神は9月の成績が6勝16敗2分けの借金10でとなり、セ・リーグの借金を1球団で独占。月間の借金2桁は、99年9月の借金13(4勝17敗)以来、14年ぶり。阪神は10年以降、9月は4年連続負け越しとなった。