<日本ハム3-4西武>◇6日◇札幌ドーム

 西武涌井秀章投手(27)が、記録ずくめのセーブでチームを2年ぶり7連勝に導いた。1点リードの9回に登板。1四球を与えたが、最後は陽を最速151キロ直球で見逃し三振に抑えた。稲尾(西鉄)を超えるチーム新記録の10連投で、01年の小林雅(ロッテ)に並ぶ6日連続セーブ。猛烈なラストスパートの中、フル回転&抜群の安定感を見せ、2位ロッテとは0・5ゲーム差に接近した。CSファーストステージの本拠地開催権をかけ、8日にロッテと「10・8決戦」に臨む。

 9回2死二塁、涌井はこの日最速の151キロ直球で試合を締めた。「6日連続セーブ」のプロ野球タイ記録をマーク。チームも2年ぶり7連勝で、2位浮上に望みをつないだ。記念すべき瞬間だったが、派手なガッツポーズも、砕けた笑顔もなかった。「記録はどうでもいいです」。試合後、表情一つ変えず、記録への感想をたった一言で終えた。

 1点リードの9回、試合の終わりを告げるコールが球場に響いた。「ピッチャー、涌井」。稲尾を超えるチーム新記録の10連投。当たり前のようにマウンドに上がると、先頭大谷からは空振り三振。その後は四球などでピンチを広げたが、動じることなく淡々とアウトを重ねた。「普通に投げて、体を動かして、普通にマウンドに上がって帰ってくるだけなんで」。事もなげに“普通”と振り返った。

 今季も増田や高橋がそうだったように、昇格したルーキーを真っ先に食事に誘ったのは涌井だった。クールなのは外面だけで、人一倍、仲間を思いやる心にあふれる。今季残り8試合となった9月29日、サファテに代わって守護神に抜てきされた。自身も先発からリリーフに配置転換され、その悔しさが痛いほどわかる。「いいやつなんで、何も思ってないかもしれませんけど」と前置きした上で「アイツ(サファテ)の気持ちも考えながら」と話したのも、涌井らしかった。

 2位ロッテと0・5ゲーム差に縮めた。7日のロッテの勝敗に関係なく、8日の直接対決で勝てば2位が決まる。かつての歴史的一戦に思いを巡らせ「巨人と中日の10・8ですね。桑田さんのカーブが…」と目を輝かせた。その日はお世話になった先輩石井の「引退セレモニー」も行われる。「みんな、カズさんに勝ちをプレゼントしたいと思っている。最後に投げさせてもらって、いいとこどりします」と、頼もしく11連投を誓った。【久保賢吾】