阪神が、フリーエージェント(FA)権行使を表明したソフトバンク山崎勝己捕手(31)の獲得調査を進めていることが7日、分かった。すでに日本ハム鶴岡がFA宣言した場合には獲得に乗り出す方針が固まっている。ただ争奪戦となる可能性があり、球団は同時に山崎獲得への準備も進めていく構えだ。今オフ、捕手補強を重視していることをうかがわせる動き。V奪回へ、扇の要をさらに強固にする。

 球団幹部によれば、今オフはすでに日本ハムからFA宣言することが濃厚な鶴岡の獲得に乗り出す方針が固まっている。ただ、鶴岡にはソフトバンクなども名乗りを上げる可能性が高く、争奪戦となることは必至の情勢だ。そこで、前日6日にソフトバンクからFA宣言することを表明した山崎の調査にも着手した。

 山崎は今季、91試合に出場して、打率2割5分2厘、1本塁打に終わった。06、07年には2年連続で100試合出場を記録するなど正捕手争いをリードして活躍したが、近年はFA移籍した細川に次ぐ2番手捕手という立場だった。さらにソフトバンクは、阪神も狙う日本ハム鶴岡獲得に動く構え。そんなチーム事情を考慮した山崎は「他球団の評価を聞きたい」と行使を表明した。

 山崎は兵庫・伊丹市出身で、小学校時代は現アスレチックスの中島とバッテリーを組んでいた。その後、報徳学園からドラフト4位でダイエー(当時)入りしたが、幼い頃から阪神ファンだったという。同じ関西のオリックスも山崎の獲得調査に乗り出しているが、阪神にとっては、タテジマと甲子園の魅力が大きなプラス材料になりそうだ。

 今オフの重要テーマは4番を打てる大砲、守護神、そして、先発補強だったが、4番候補問題は米大リーグ、ナショナルズのマウロ・ゴメス内野手(29)獲得が秒読み段階に入っている。また、守護神も韓国サムスンのセーブ王・呉昇桓(オ・スンファン)投手(31)に一本化。先発補強では中日からFA宣言する右腕・中田賢一(31)の獲得に乗り出すことで解決を図ろうとしている。だが、ここにきて坂井オーナーの意向もあり、捕手補強の重要性が増してきた。

 今季、和田阪神は藤井彰を正捕手として、2番手にFAでオリックスから獲得した日高、3番手に小宮山、清水ら若手を起用してきた。シーズン後半に見せた清水の成長などで、層が厚いように見える捕手部門だが、王者巨人を上まわって、優勝を狙うためにはさらなる補強が必要だと球団フロントは判断した模様だ。

 今後は鶴岡、山崎のFA宣言手続きを待ち、交渉解禁となる15日に、すぐにでも動ける態勢を整えていく。“正妻”を求める虎の動きがにわかにあわただしくなってきた。

 ◆山崎勝己(やまざき・かつき)1982年(昭57)8月16日、兵庫・伊丹市生まれ。桜台小で野球を始める。報徳学園を経て00年ドラフト4位でダイエー(現ソフトバンク)入団。637試合に出場し、通算232安打で4本塁打。180センチ83キロ、右投げ右打ち。推定年俸3400万円。