中田賢一本釣りや!

 阪神がFA戦線で、中日の中田賢一投手(31)獲得に専念することが14日、分かった。この日、FA宣言選手が公示され、今日15日からは交渉が解禁。中田賢とともに日本ハム鶴岡慎也捕手(32)の獲得も目指していたが、ソフトバンクへの思いが強い情報をキャッチして断念することになった。中田賢は最大5球団の争奪戦となるが、手薄になる先発型右投手の入団に全力を注ぐ。

 断腸の決断だ。阪神がFAでの「捕手補強」を諦めることにした。早々と獲得に乗り出すことを明言していた鶴岡を、諦めた。今日15日からの交渉解禁を前に、関係各所から入ってくる情報は厳しいものばかりだった。「残念ですが、九州出身ということもあってソフトバンクさんへの思いが強いようです」。無理して交渉のテーブルにはつかない模様。阪神鶴岡の誕生はなくなった。

 実力は高く評価していた。ダルビッシュの女房だった実力、人望、そして経験、さらには32歳という年齢は、まだまだ活躍の予感を感じさせていた。地元兵庫出身のソフトバンク山崎にも興味を示していたが、鶴岡に一本化。3年の長期契約も用意して、万全の受け入れ態勢を整えていた。

 鶴岡断念で、狙うFA戦士は中田賢だけになった。くしくも、ここにきてニーズが高まっている。今季リーグ3位の防御率で巨人キラーだったスタンリッジが、外国人枠の問題もあって退団が決定的。先発を任せるはずだった久保はFA宣言し、移籍が濃厚になった。今季のローテを任せた右投手はメッセンジャーと藤浪の2人だけ。通算61勝右腕は、ぜひともほしい。

 球団幹部によると初交渉を17日に設定する段取りを調整中で「ほかには負けない条件を用意する」と意気込む。長期契約で迎えるソフトバンクに負けじと「最大4年契約」、中田賢が望む「先発手形」、そして「背番号」も準備する。「17番が空きましたし、チームを支える投手らしい背番号を。まずは希望する番号を聞きたいですね」。虎式「3点セット」を持ち出しながら、誠意を持って交渉していく。

 Cランクで人的補償のない中田賢には、ソフトバンクのほかヤクルト、巨人、オリックスもラブコール。今オフ一番のモテ男は今日15日、ここでも最大のライバルになったソフトバンクが初交渉に臨む。後手を踏んだ感はあるが、阪神に焦りはない。「何度も対戦して実力は十分に分かっているし、まだまだこれからの選手。これからの阪神を支えていってほしい」。タテジマの投手王国建設へ、戦いが始まる。