ソフトバンクがFA交渉解禁日の15日、中日から宣言した中田賢一投手(31)と名古屋市内のホテルで1回目の交渉を行った。高級フレンチを食べながら、中田賢の地元でもある福岡の環境面の良さをアピール。先発手形、中日での背番号「20」も必要なら準備。4年で最大10億円(推定)の大型契約を提示した。阪神などとの争奪戦で優位な状況だが、至れり尽くせりの「お・も・て・な・し交渉」で右腕のハートをさらにくすぐった。

 某グルメリポーター風に言えば「食材の宝石箱」となるのだろう。ソフトバンクが解禁日に中田賢と即日交渉。名古屋の町並みを雄大に見下ろせる高層階のテーブルには、キャビアやトリュフなど、高級食材がずらりと並んだ。まずは高級フレンチで歓迎ムードをたっぷりと演出した。

 交渉のホスト役を務めたのは、同じ福岡出身の小川一夫編成・育成部長だった。「彼の人間性も素晴らしくその場をいい雰囲気で過ごせた。感触はまったく悪くない」と好感触。条件面では4年で最大10億円という成果報酬型を提示。「どこにも負けないものを提示したと思う」と胸を張り、中田賢も「すごくいい評価」と感激しきりだ。

 約1時間半の交渉では、条件面のほか、環境面について多くの時間が費やされた。住環境、遠征先のホテルなど詳細を説明。福岡出身の右腕への口説き文句は「帰って来てほしい」だった。中田賢は「印象に残っている。地元の話が多かった」と振り返った。

 中田賢

 ファンのみなさんもすごく温かく応援されている球団。もちろん優勝争いも毎年されてますんで、いい印象はあります。

 背番号「20」も用意が可能だ。現在背負う巽は「こだわりはない。僕は譲っても構わない」と話している。小林至海外兼中長期戦略担当部長も「最大限、要望に応えられるようにしたい」と、精いっぱいのおもてなしで誠意を伝えた。

 今季は先発陣の整備に苦しんだ。小川部長は「日本一になるために必要なピッチャー。王会長も秋山監督もぜひ来てほしいと言っている。ローテの一角を守ってくれると思う」と先発手形を確約。まずは速攻アタックで、他球団の機先を制した。【大池和幸】