阪神に00年ドラフト1位で逆指名入団し、今年10月にヤクルトを戦力外になっていた藤田太陽投手(34)が今季限りで現役引退することが25日、分かった。11月10日の12球団合同トライアウト参加を見送って、今後の方向性を熟考したが、負傷していた右肘の状態が好転せず、プロ野球人生の決断を下した。

 かつて阪神で将来を期待されたドラ1右腕がマウンドを去る。藤田は「一番はひじの状態。もっとできたという思いはあるけど、不器用なりに苦労しながら、13年できたのかな」と話した。

 阪神在籍時の03年6月に右肘手術を受け、ヤクルトに在籍した今季も前半戦に同箇所の不調に悩まされた。他球団からオファーもあったが、状態は万全ではなく、苦渋の選択だった。

 00年ドラフトの際には阪神と巨人が獲得を目指した。阪神を逆指名し、浪花節の虎党を喜ばせた。藤田は「阪神という伝統球団でやらせてもらったことは人生の財産。広島戦で完投した1勝目は忘れられない」と振り返った。02年9月3日広島戦で9回2失点の好投。涙を流したプロ初勝利だった。03年も開幕ローテーションに入ったが右肘を負傷して暗転。09年に西武へ移籍し、セットアッパーで活躍して意地も見せた。

 阪神時代に、野球の奥深さを学んだ。「星野さんには、投手は弱気になったらダメだと教わった。打者を研究しないといけないと痛感したのは、野村監督のミーティング。岡田さんには当たり前のことを当たり前にする難しさを教わった」。今後は野球に携わる職業を視野に入れ、故郷・秋田での活動も検討する。テレビやラジオへの出演などで、野球の魅力を発信したい考えだ。

 ◆藤田太陽(ふじた・たいよう)1979年(昭54)11月1日、秋田市生まれ。04年から08年までの登録名は太陽。新屋から川鉄千葉(現JFE東日本)を経て、00年ドラフトで阪神を逆指名。01年開幕戦の巨人戦でデビュー、同最終戦の広島戦で初先発した。09年7月にトレードで西武に移籍し、セットアッパーを務めるなど開花した。昨年オフに戦力外通告を受けてヤクルト入り。通算156試合13勝14敗4セーブ。187センチ、90キロ。右投げ右打ち。