「1番」への近道はやっぱり予習、復習!?

 楽天の新人合同自主トレが12日、コボスタ宮城でスタートした。初日恒例のシャトルラン(20メートルの往復持久走)を行い、ドラフト1位の松井裕樹投手(18=桐光学園)は122本を走り抜いた。昨年の新人王則本と同じ本数を記録し、新人9人中2位の好成績。ひそかに高校のグラウンドで同メニューを練習しており、プロの世界で幸先の良いスタートダッシュを切った。

 見事な予習の成果だった。20メートルの短距離を一定のリズムで走り続ける過酷なメニュー。テンポがだんだんと速まり、1人、また1人と脱落する中で、松井裕には余力があった。最後にドラフト8位の相沢晋投手(26=日本製紙石巻)と一騎打ちとなり「あ~!」と叫ぶように脱落。それでも堂々の2位となった。好成績の要因を聞かれるとちょっぴりはにかんだ。「実はこれ(シャトルラン)をやるのが分かっていたので、学校でCDを借りてグラウンドでやっていました」。

 プロとしての初練習に向けて、対策は万全だった。毎年恒例のメニューに学校からシャトルラン用のCDを借り、走り込みを繰り返した。予習の成果もあり、学校で記録した108本を14本も更新した。しかし「勝ちたかったです。悔しい」と話し、負けず嫌いかと問われると「はい。(1番を)結構、狙っていたんで」と1位を取れず、無念そうな表情を浮かべた。

 課題も発見した。体力強化で行われたメニューでは跳び上がるスクワットで後れを取った。「ジャンプ系とインナー系(の筋肉)が弱いとデータが出た。改善していきたい」と弱点の克服を誓う。また2月1日のキャンプインへ、万全の体調で挑むことが大事だと強調。「いかに疲れを残さないかが大事。そこで差が出る」と寮での疲労回復を“復習点”として挙げた。

 気になるプロ初日の自己採点は厳しめの「50点」。100点はあるかと聞かれると「100点はない。それより上はないので。まだ上の結果を出せると信じて頑張りたい」と話す。しかし、走った122本は新人の中で、歴代でも上位。部屋を引き継いだ則本と同じ本数と聞かされると「運命感じます」と笑顔を見せた。新人王の後をなぞるような吉兆だらけ。予習復習をかかさなければ、勉強の神ならぬ野球の神様が「100点満点」を与えてくる日がきっと来る。【島根純】

 ◆シャトルラン

 楽天の新人合同自主トレ恒例の持久走。専用CDの電子音が流れ始めると、20メートルを往復し始める。初めは一定のリズムで音が流れ、徐々に電子音の間隔が縮まり、走る速度も増していく。音に合わせて20メートルを走れなくなった時点で脱落。過去最高は昨年のドラフト1位森の137本。次いで11年に育成3位川口が記録した133本。