黄金ルーキーの偽者にご用心-。楽天のドラフト1位松井裕樹投手(18=桐光学園)が14日、交流サイト(SNS)などでなりすまし被害に遭っていることを明かした。昨年12月の入団会見などで仙台へ訪れた際に、ファンから報告を受けたことで発覚。主にフェイスブックで左腕の名前を語る不届き者が存在するという。明確な実害などは出ていないが、球団側は早急な対処策に着手した。

 松井裕は新人合同自主トレを終えると、少し不安げな表情でしゃべり始めた。「何か、自分の偽者がいるらしいです。12月に仙台に来たときに、ファンの方から『フェイスブックで友達なんですけど』と言われました」。松井裕は一切、SNSやツイッターを行っていない。だが、この日の午前中に行われたコンプライアンス(法令順守)の研修で、なりすまし被害を受けた例を勉強。自分の身に起きた事象を思い出した。

 問題のフェイスブックは「松井裕樹」の名前を使い、プロフィル写真は昨年9月に行われた18Uワールドカップのもの。高校のユニホーム姿の写真、出身校や出身地は松井裕と同じ情報を記載している。これを本物と思ったファンは、仲良くなるために「友達申請」を行った。その数は約5000人。それぞれが「活躍を期待しています」や「入団おめでとう」など応援のコメントを送っている。

 ツイッターでも同様のなりすまし例が確認されている。日本シリーズ中の昨年10月26日に「今日は楽天負けたけど、明日は絶対に勝つ!

 でも明日は1日練習やから早く寝よ!」とつぶやいた。本物の松井裕は神奈川出身なのになぜか関西弁で、具体的な内容を書き込み。フォロワーを増やした。今のところ明確な実害はないが、球団側はファン心理をもてあそぶ悪質な事例と判断。広報は「球団として早急に対応します」と、アカウントの停止などを求めていくとした。

 研修ではトラブルに巻き込まれた際の対処方法など、甘い誘惑の危険性を学んだ。「出歩かないのが一番かなと思います。(SNSやツイッターを)やる予定はないです」。ファンとの交流を図る便利な道具も、1歩間違えれば“炎上”の恐れがある。多くは語らず、今はひたすら野球に集中する。【島根純】

 ◆フェイスブック

 米国のフェイスブック社が提供するインターネット上のサービス。10億人以上が利用しており、世界最大のソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)となっている。無料で個人ページを開設でき、近況や写真を掲載。利用者同士が「友達」として登録しあい、お互いに情報を交換する。原則として、実名登録が求められている。