<オープン戦:阪神2-3巨人>◇9日◇甲子園

 阪神が「独り負け」でオープン戦単独最下位に沈んだ。甲子園で今季初の巨人戦で、あと1点が取れずに惜敗した。主力が出場していた6回まではわずか1安打。最下位に加えて、12球団最低のチーム打率に和田豊監督(51)もいら立ちを隠さなかった。2014年オープン戦、6連敗でいまだ0勝の虎は大丈夫か?

 まだ3月といえども、こんな状況ならば、熱くならずにはいられない。1点を追う9回2死二塁、スタンドの虎党は必死に声をからした。だが、最後は森田が三振に倒れてオープン戦6連敗が決まった。これで12球団唯一のオープン戦未勝利。ついに単独最下位となってしまった。

 「ああいうケースでかえせないというのが、キャンプの練習試合から続いている。最初の打者が何とかしないといけないんだけど」と、和田監督が苦々しく振り返ったのは8回だ。新人梅野の適時三塁打で1点差に迫ったが、なお無死三塁で上本、柴田、大和がかえせず。終盤に出場した若手の勝負弱さを嘆く一方で、和田監督は主力についても危機感を示した。

 1回、相手の野選と失策で1点を先制したが、先発内海、2番手江柄子に6回までわずか1安打。西岡、鳥谷、マートン、福留と主力クラスが並んだが、安打がつながらない。「主力が状態を上げていかないと点も入ってこない。しっかり打ち込んで、状態を上げるようにやっていきます」と振り返った。

 チーム打率は12球団で唯一1割台の1割9分で、7試合で13得点。これまで主力に関しては「自分で状態を上げてくれればいい」とコメントしてきたが、少しトーンが変わった。鳥谷が出場全6試合で、福留が5試合連続で無安打。あくまで開幕を照準にする姿勢も理解できるだけに、ジレンマなのだろうか。

 3打数無安打の西岡は「打撃は良くない。自分で危機感を持ってやるぐらいが、開幕にちょうど合うのかもしれない」と言った。“開花”予定は先だが、本当に咲くのか…。まだオープン戦とはいえ、だんだん虎党も、チーム内も、ざわついてきた。【鈴木忠平】