<阪神8-4広島>◇4月30日◇甲子園

 守護神がピシャリと締めた。阪神呉昇桓投手(31)が、虎党の「あと1球」に応えるように満身の力で投げ込んだ。9回2死、相手主砲のエルドレッドだ。カウント2-2から高めへ伸びる150キロで空を切らせた。セーブのつかない場面でも、挑戦状をたたきつけるように高めで勝負した5球。力業で3人目を封じ込めた。

 「打者が誰でも気にせず、自分の投球をすることを大事に考えている。登板間隔は問題ない。大丈夫」

 6日ぶりのマウンドだった。DeNA戦があった4月25日に微熱を訴えた。試合中に宿舎へ戻り、和田豊監督(51)も「疲れが出てくる時期だからね」と重圧と戦い続ける心境を思いやった。幸い、チームは発症日から2日続けて快勝。心配したナインも安心する、100%の病み上がり投球だった。

 前日29日からテーマ曲「oh」を提供してくれた韓国人歌手のJoosuC(チュソク)が来日。甲子園も訪れた母国のスターも喜ばせた3試合連続の完璧救援。暖かくなり、グイグイとエンジンがかかってきた。「もっと良くなると思う。スピードももう少し出ると思う」。まだまだ魅せます石直球。勝利のハイタッチの真ん中に、呉昇桓がいる。