<ロッテ1-7ソフトバンク>◇15日◇QVCマリン

 故郷千葉で初めて勝った。ライバルにも初めて勝った。ソフトバンク岩崎翔投手(24)の今季が開幕した。今季初登板初先発のロッテ戦で8回7安打1失点と好投。今季初勝利を挙げ同球場でもプロで初めて笑った。登板過多の中継ぎ陣を休ませる129球の粘りの投球で、同郷で同学年のロッテ唐川にもプロ3戦目で初めて投げ勝った。

 故郷の霧雨が心地よかった。岩崎はアイシングをしながら勝利のハイタッチの列に並んだ。「細川さんがうまく引き出してくれた」と、普段はあまり使わないチェンジアップを多投。この日最速147キロの直球との緩急を使えた。

 4回1死二、三塁のピンチで吉田、高浜を連続三振。高浜には外角低め直球で空振りさせた。グラブをポンとたたき、ここから調子を上げた。秋山監督は「良く粘った。球数もちゃんと投げてくれた」と8回まで投げきったことをほめた。

 プロで4度目のQVCマリンでの先発。スタンドには父司さんや市船橋の野球部員も駆けつけた。「先輩としていいところを見せられた。(唐川も)高校からお互い意識していた。勝ててよかった」。味方打線が唐川から3回で7安打5点を奪い、マウンドから引きずり下ろしてくれた。

 高校時代、唐川(成田)は日本ハム中田(大阪桐蔭)ヤクルト由規(仙台育英)と高校BIG3と騒がれていた。同じ千葉のドラフト候補でも、岩崎とは全国的知名度は雲泥の差だった。高校時代は1年秋に投げ合っただけ。現在、一緒に食事に出かけることもある仲だが、どうしても勝ちたかった。

 先発での勝利は12年7月2日の日本ハム戦以来682日ぶり。今季は開幕ローテーションから外れたが、2軍でも先発調整。100球以上の投げ込みを週2、3度続けた成果で、登板過多な救援陣を休ませた。

 プロ通算13勝目のウイニングボールを待望の球場で、待望の相手との投げ合いでつかんだ。エース候補と言われ続けた右腕が、大きな自信をつけた。【石橋隆雄】