<オールスターゲーム:全セ6-12全パ>◇第2戦◇19日◇甲子園

 全セの阪神藤浪晋太郎投手(20)は球宴を味わい尽くした。156キロの自己最速タイも、特大被弾も大谷の162キロも。記憶に色濃く残ったことだろう。2回4安打4失点。阿部のサインに従い、投じた38球のうち33球が直球。2球目にいきなり自己最速タイの156キロを記録するなど沸かせた。ペーニャに特大3ランを浴びると、マウンド上で「まじか」とつぶやくシーンもあった。

 「投球自体はよくなかった。ストライクが入らなくて。気持ちいい本塁打も打たれてよかったです。独特の雰囲気をかみしめながら投げました」。ベンチでは大谷の直球に一喜一憂。162キロの場面では手で口を覆い、目を丸くした。球宴最速記録を目撃し「いやすごかったですね。異次元のピッチングですよね。常時160キロ出す投手って今まで日本にいたのかな、と思いました」と脱帽。互いに健闘をたたえ合った。

 試合前には「せっかくだからファンサービスをしよう」と大谷にキャッチボールを提案。セレモニーが行われる外野で左翼と右翼に散らばった。伸びるボールを投げ合う遠投でファンを沸かせ、最後に互いにグラブを合わせた。

 ファンを楽しませて、自身もわくわく。菅野から変化球の握りを教わるなど、収穫は多かった。「後半戦につなげていきたいと思います」。登板直後から、その目はすでにリーグ戦へと向いていた。【池本泰尚】