<中日10-0巨人>◇25日◇ナゴヤドーム

 頭部死球から3試合ぶりに先発復帰した中日和田一浩外野手(42)がリベンジ大勝を導いた。巨人菅野をKOする15号3ランを含む3安打3打点。21日DeNA戦での頭部死球を乗り越えての固め打ちで、通算2000安打まであと18本となった。森野に3ラン、高橋周に2ランも出て、13安打10得点。前回対戦で3タテを食らった首位巨人に痛烈にやり返した。

 このチームには鉄人と呼ばれる男がたくさんいる。和田も間違いなく、ストロングマンだ。復活弾は5回に生まれた。1死二、三塁。2球目の外角スライダーを豪快につかまえた。ふわりと舞い上がった打球が左翼席に着弾。巨人菅野を降板させる15号3ランで8点目を刻む。4日前に頭部死球を受けた影響はみじんも感じさせなかった。

 「死球のことは忘れて試合に集中できた。強い気持ちでいかないと、やるかやられるかなので」

 「核」が戻った打線は本来の姿を取り戻した。和田の離脱により3番起用されていた大島が定位置の1番に復帰。大島、荒木の1、2番コンビにクリーンアップは3番エルナンデス、4番和田、5番森野と落ち着いた。7番に打撃好調の高橋周を置くオーダーは1回から活発だった。

 失策の絡んだ内野安打と犠打で1死三塁とし、エルナンデスが左中間を抜ける適時二塁打で先制。森野が8号3ランを右翼ポールに当てて、大量リードを奪った。5回には和田が本塁打を放った直後に、高橋周が本拠地初アーチとなる2号2ランを放った。

 この日は球団初となるサマーキャップを着用しての1戦。白い帽子をかぶるさわやかな見た目とは違い、ナインのハートは熱かった。前回対戦した今月上旬の巨人3連戦は東京ドームで痛恨の3連敗を喫した。試合前のミーティングでは谷繁兼任監督が「やり返すぞ!」と号令をかけていた。

 指揮官は試合前に迷いなく「4番和田」をメンバー表に書き込んだ。「(死球の影響で)逃げてるようじゃここまでやってない。逆に踏み込んでいけるようになるよ」と信じていた。和田は7回にも3本目となる左前打を放ち、2000安打へのカウントダウンが加速。真夏の夜の痛快大勝劇。白い竜が熱く燃え上がった。【桝井聡】