<西武1-8ソフトバンク>◇6日◇西武ドーム

 ソフトバンク武田翔太投手(21)が3年目の今季初登板初先発。5回1安打無失点で、昨年9月11日西武戦以来326日ぶりの勝利を挙げた。右ふくらはぎをつって5回で降板も、8奪三振で三塁を踏ませない力投。右肩痛を克服した右腕は首位のチームを4連勝に導き、貯金は今季最多22まで伸びた。

 文句ない内容だった。武田は1回2死から栗山にボテボテの中前打。4回は中村に浅い左飛。それ以外の打者16人は、打球を外野にも飛ばさせなかった。2回の3者連続など8奪三振。昨年68個のリーグ与四球王が、わずか2四球。鮮やかすぎる今季初登板だった。

 「1年ぶり1軍登板でめちゃくちゃ緊張した。球は悪くなかった。特にカーブがよく決まった。1年間ずっとリハビリして、きつい時間だったけど、いろんな人に支えられた。けがをして自分と向き合えた。いい勉強になった」

 苦しんだ昨年、腕が下がって斜めだったリリースポイントは上からに修正。スピンの効いた球がビシバシと決まった。最速は151キロを計測。21歳が西武打線を子ども扱いした。1年目のクライマックスシリーズでプロ初KOされた西武ドームは「上から翔太」の復活舞台となった。

 高卒1年目の2年前は8勝。ローテの柱と期待された昨年は4勝どまり。右肩の痛みがつきまとった。「1年目と同じように投げるのは無理。体も違う、体重も違う。2年目はずっと肩が痛かった」。昨年秋のキャンプはノースロー。ウエートトレにも励み、現在の体重は89キロ。1年前より10キロも増えた。すっかり大人の体になった。

 昨年まで2日前だったブルペン投球を、今年から3日前に変更。通常の倍以上の120球前後を投げるようにした。「投げて鍛えたいから。2日空けた方が万全でいける。その間にトレーニングも入れられる」。1年目も100球制限があったように、肩のスタミナが不足していた。故障から治ると課題克服に着手。コーチと相談しながら模索し、独自の調整にたどり着いた。

 首位のチームは強力打線がクローズアップされる。ただ昨季Bクラスの主因となった先発陣も原動力だ。現在は摂津、中田、スタンリッジを固定。帆足、大隣、岩崎、東浜、飯田は先発翌日に抹消して中10日以上空けるローテを組んでいる。ここに武田も加わった。

 足をつっての降板に「次はもっと長いイニングを投げたい。最低でも7回投げないと」。それでも秋山監督は言った。「前とは違うのだよ、前とは」。成長した右腕に向けた最大級の賛辞だった。【大池和幸】

 ▼ソフトバンクは武田が今季14人目の先発投手。楽天11人、オリックス、日本ハム、西武がそれぞれ10人、ロッテが9人。ソフトバンクは、まだ1試合しか先発していない投手が4人(大隣、大場、山田、武田)もいる。