<2014SUZUKI日米野球:日本代表1-3MLB>◇第5戦◇18日◇札幌ドーム

 侍ジャパンの大谷翔平投手(20)が、メジャー相手に真っ向勝負を演じた。「2014

 SUZUKI

 日米野球」の第5戦(札幌ドーム)で初先発。1回に2番プイグから3者連続三振を奪うなど、この日最速160キロの直球を軸にフォーク、カーブなどの変化球を織り交ぜ、毎回の7三振を奪った。制球の乱れもあり4回を6安打2失点(自責点は0)も、今季実戦最終登板でさらなる成長への自信をつかんだ。

 20歳の若さが、勢いでもあり、もろさでもあった。日本人最速投手・大谷が、メジャーの強打者に真っ向からぶつかった。

 1回2死二塁、4番ロンゴリアへの3球目。この日最速160キロの速球で空振り三振を奪った。プイグ、モーノーに続く3者連続三振。「三振を狙いにいって取れたので、それはよかったです。自分の持っているもので勝負できた」。直球、フォークに110キロ台のカーブを絡め、奪った12のアウトのうち7つが三振。手応えはあった。

 だが一方で、制球も乱れた。3回はデューダ、エスコバルに連打を浴びると、バッテリーミスなどで2失点。「気のない球は打たれる」。ロンゴリアには死球も与え、球数が増えたことが、4回の早期降板につながった。収穫と課題が同居した68球だった。

 今夏、日本ハム栗山監督の携帯電話に1通のメールが届いた。入団以来、外出する際に報告義務を課している大谷からだった。いつもルールを忠実に守っているため、連絡がくること自体は珍しいことではない。だが、この日ばかりは事情が違った。「小久保さんとご飯を食べてきます」。侍ジャパン指揮官との、初めての会食だった。

 大谷が代表に選出されたのは10月。この時点では候補選手の1人にすぎなかったが、グラウンド上ではチームを勝たせることだけを考えプレーすること、私生活も含め日頃の行いから気をつけて行動すること…などの金言を授かったという。かつてはグラブをたたきつけて悔しがることもあった大谷だが、感情で物にあたることは少なくなった。CSでは、降板後、アイシング治療もそこそこにベンチに戻って声を張り上げて応援した。振る舞いや姿勢から、「日本代表」になることを意識してきた。

 大谷

 打たれる場面もありましたけど、それも含めてすべて勉強になりました。(メジャーは)まだまだ手の届かないレベル。1年1年積み重ねて近づけるようにやっていきたい。

 侍ジャパンの主力となっていくであろう若き才能が、日の丸を背負って第1歩を踏み出した。勢いでありもろさでもあった20歳の若さこそが、この先の最大の魅力でもある。【本間翼】