<2014SUZUKI日米野球:日本代表6-4MLB>◇20日◇沖縄セルラー那覇

 侍ジャパンが有終の美を飾った。小久保裕紀監督(43)率いる日本代表が親善試合でMLBオールスターに逆転勝ちした。今宮健太内野手(23)が適時打を含む猛打賞の活躍をみせれば、菊池涼介内野手(24)はメジャー顔負けの好守備で、沖縄のファンを魅了。若侍が躍動し、親善試合を含めた日米野球を通算4勝2敗で締めくくった。目標の2017年WBCでの王座奪回へ、確かな1歩を踏み出した。

 小久保監督のまなざしは、将来の日本野球を見据えていた。試合後の記者会見。代表招集からの約2週間を、表情を引き締めたまま振り返った。

 小久保監督

 主力選手が11月20日まで真剣勝負をやり抜いて、使命感を持って戦ってくれたことに敬意を表したい。(4勝2敗という結果で)アンダーも含めた若い世代が、いずれトップチームのユニホームに袖を通したいと思ってくれれば、日本球界にとっても大きい。そういう意味でも勝ち越せてよかった。

 有言実行の攻め手に選手が応え、最終戦の白星を手繰り寄せた。1点リードの8回無死一、二塁。今宮が送りバント失敗で1死も、続く小林にも同じサインを出した。「流れ的にゲッツーのリスクを考えた。そうなると相手に完全に流れがいってしまう」。小林はきっちり犠打を決め、2死二、三塁とし、柳田がしぶとく中前に抜ける2点適時打。前日会見で「親善試合ですが、明日はとにかく勝ちにいく試合運びをしたい」と宣言した通りの策を、選手が最高の結果につなげた。侍ジャパンとしての意思疎通が、試合を決めた。

 目標に置くのは17年のWBC。今回の代表メンバーは本番を見据えて編成した。若手中心でも「現時点でのトップ選手を招集したつもり」と言い切った。この日も23歳の今宮が猛打賞の活躍をみせれば、24歳の菊池も守備で好プレー。今シリーズMVPの柳田も26歳と、日の丸を背負う若侍たちには、無限の可能性が広がる。小久保監督は、こう言って会見を締めた。

 「この主力選手たちが日本球界を引っ張っていくのは間違いない。チームに戻って、また次の世代の選手たちに、影響を与えてくれると信じている」

 代表監督として、確かな手応えをつかんだ日米野球。刻んだ1歩は、3年後の王座奪回へ続く。【佐竹実】