DeNA中畑清監督(60)が、「キューバの至宝」の引き留めに弱音を吐いた。26日、都内で行われた表彰式「NPB

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 2014」に出席し、巨人がユリエスキ・グリエル内野手(30)の獲得を目指し調査していることに「こういうの勝ったことない」と漏らした。球団はグリエルの残留を最優先事項と位置づけ、全力を注いでいる。DeNAと巨人のマッチレースが注目される。

 中畑監督が思わず弱音をこぼした。シーズン中から残留要請をしていたグリエルを巨人が獲得に向けて本腰を入れていることが明らかになり「こういう取り合いで、うちが勝ったことはないんじゃない。前向きなコメントはできないよ」と、絶好調どころか絶不調宣言。監督就任後の12年、獲得競争に乗り出した福留は阪神に奪われ、今年も松坂をソフトバンクにもっていかれた。補強戦線で苦戦を強いられた過去の歴史に追い打ちをかけるかのように、今度は巨人が立ちはだかった。

 黙ってさらわれるわけにはいかない。式典で巨人原監督を見つけると「グリエルを狙っているみたいだね」とけん制。原監督を困らせようと試みたが「こっちは弱い立場なんだから(譲らないとは)言えなかったよ」としょんぼり肩を落とし、会場を後にした。

 中畑監督の来季の構想にはグリエルの存在が必要不可欠だ。打線の中軸を担う「3番」での起用を想定。グリエルは来日1年目の今季、巨人戦だけを見ても10試合で打率4割2分1厘の高打率で宿敵相手に好相性を発揮した。「巨人が獲得に行くのは当然。今年はうちに負け越してるし、やられているイメージが強いからね」と冷静に分析。だからこそ、絶対に手放したくないピースだと強調した。

 球団も中畑監督と同様にグリエルの残留を最優先事項と位置づけている。巨人に負けじと駐米スカウトをメキシコに派遣し、キューバ代表で出場した国際大会全試合をチェックするなど徹底マークを続けてきた。10月からキューバ側へのアプローチを継続し、条件提示も済ませている。グリエル争奪戦で巨人に勝てば、来シーズンにも明るい兆しが見えてくる。【細江純平】