プロ野球独立リーグのルートインBCリーグに新規参入する「福島ホープス」の選手兼任監督に就任した前ヤクルト岩村明憲内野手(35)が28日、福島県庁で就任会見を行った。会見を終えると、すぐさま車で約3時間かけて新潟・長岡に移動し、同リーグのドラフト会議に参加。地域密着を徹底し、福島のファンに笑顔を届けることを使命として突き進む。

 BCリーグらしい、アットホームなドラフトだった。田園風景に天然温泉、畳敷きの大宴会場。岩村新監督は2時間の会議中、座布団を尻にあぐらを組んだ。午前に福島県庁で就任会見を済ませ、3時間の移動にも疲労の色を見せなかった。新球団「ホープス」の名の通り、希望に満ちた表情の1日だった。

 福島の力になる。「選手にはまだ会ってないんですけど『とにかく福島のために』と口酸っぱく言っていきたい。『こいつらの野球、楽しいな』と思ってもらえるような野球をしなくてはいけない」と、地域密着を強調した。

 自身も楽天時代に震災を体験しており「僕はあまり『復興』という言葉は使いたくないんですが」と言う。その上で「震災から立ち上がろうという東北の方たちが、何のために苦しんで、何のためにつらい思いをしているのか。必ず自分たちが笑って過ごせると信じて、今はつらい思いをされていると思う。進化を遂げている福島に『何苦楚魂』がつながっていけばうれしく思う」と、座右の銘の精神でまい進する覚悟を示した。

 チームの方向性は「長所を引き出せるような野球をしていきたい。(NPBに)今薄れているのは個性。個性を十分に野球に生かして、それをオンとオフをきっちりする。それがチーム、監督としての理想像に近づくと思う」と語った。

 監督として、若い選手をNPBに導くのも大きな仕事と話す一方、「まず選手として、まだまだできると思ってますし、自分のプレーが福島の人たちに笑顔を届けられるものであれば、自分自身も精いっぱいプレーさせていただきたい。自分が始めた野球人生なので、自分の信じた道で終えたいなと思います」とも言う。初めての監督、選手としては集大成。希望への挑戦が始まった。【金子航】