本塁打を量産してこそ俺の後継者だ!

 ハワイで名球会行事に参加している侍ジャパン小久保裕紀監督(43)が、ソフトバンク柳田悠岐外野手(26)へ「キング打法」を伝授した。柳田は来季から、現役時代の背番号「9」をつける。後輩が本塁打量産のコツを1日でも早くつかむことを期待した。

 小久保監督は「日本代表として球界を背負っていくメンバー」と、日米野球でも5戦すべてスタメンで起用した。3年後のWBCへ、来季さらに成長するためには、本塁打量産の必要があると考えている。「一緒に日米やって思ったのは、芯で捉えた打球がラインドライブしてフェンスに当たる。力があるので30発は打てる。打球の角度をつけるコツをつければ飛躍する。一気に増える」とワンポイントを指摘した。

 94年のダイエー入団時はライナーで外野の間を抜く打撃だった小久保監督だが、95年に王監督と出会い、4番を任されて本塁打を意識するようになった。キャンプでは居残りで黙々とロングティーを打った。「言葉で説明するのは難しい」としながら、真芯ではなくややボールの下をたたくことで、打球に角度がついていった。その年、28本塁打でタイトルを獲得した。

 柳田もフリー打撃などではチーム1、2の飛距離を誇る。だが試合では芯で「捉え過ぎて」ドライブがかかる。「やったらコツは覚えられる」。芯の数ミリ下をたたく感覚を覚えるには数を打つしかない。今季打率3割1分7厘、33盗塁、15本塁打の柳田が、背番号だけでなく小久保監督の後継者の道を歩む。(ホノルル=石橋隆雄)

 ◆小久保監督の現役時代

 一本足からボールのやや下をたたくアッパースイングで通算413本塁打を記録した。大卒2年目の95年には感覚をつかみ28本で本塁打王。キャンプ地が高知だったころは松中と競うように最後まで居残り、ロングティー打撃に励んだ。01年には自己最多の44本塁打。現役19年で30本塁打以上は6度マークした。