大物の予感-。中日のドラフト1位、野村亮介投手(21=三菱日立パワーシステムズ横浜)が異例のマイペース調整で新人王ロードを歩む。2日、静岡県磐田市で新年の取材に応じた。調整は順調だが、2月1日のブルペン入りにはこだわらず、実戦段階からアピールしていく計画を披露した。初詣は「大吉」も引き当て、ルーキーイヤーは上々の滑り出しになった。

 母の実家からほど近い、磐田市の見付天神。キンと冷えた空気の中、野村の表情が一瞬華やいだ。おみくじの紙を広げると「大吉」の2文字。「うれしいですね。狙っていました。予想通りですよ」。いきなり引きの強さを見せつけた。

 絵馬には迷わず「新人王」と書き込んだ。ただ、やみくもに目指すわけではない。21歳の若者らしからぬ冷静さで、自分が歩むべき道をしっかりと描く。

 「目標は新人王ですが、まずはキャンプをしっかりやり、1軍に入り、開幕ローテーション。1年間通して働き、2ケタ勝利にいきたい。でも、とにかく1軍。そこからです」

 自他ともに認めるマイペース型。その一番の長所は、未知のプロの世界でも変えるつもりはない。

 「ケガをしたら意味がないですから。最初からそこまでアピールしなくてもいいと思う。オープン戦でしっかりアピールできればいいと思っています」

 野球界の正月と言われるキャンプイン=2月1日についても「初日にブルペンに入るつもりはない」と断言した。体に不安を抱えていないルーキーでは異例のプランといえる。

 もちろん、単にのんびり過ごすわけではない。静岡市の実家では大みそか、元日もランニングなどをこなし、磐田市に移動してきたこの日も、しっかり体を動かした。「早いうちにしっかり体をつくりたい」と抜かりはない。初めてずくめの世界で、焦りや不安もあるが、自分にブレーキをかけることで「年間通じて活躍」のノルマに備える。

 「吉見さんはコントロールがすごいし、(映像で)投球を見ていても捕手が構えたところにピシャピシャいく」とハイレベルな世界に身を置く楽しみもある。今後、横浜に戻ってチームで練習し、いよいよ入寮だ。大物感漂わせるマイペース右腕は、あわてず騒がずベールを脱いでいく。【柏原誠】

 ◆野村亮介(のむら・りょうすけ)1993年(平5)7月9日、静岡市生まれ。小1から野球を始め、清水飯田中3年時に全国中学総体出場。静清で11年センバツ出場。3年夏は県大会8強。三菱日立パワーシステムズ横浜では1年目から登板し、昨年の都市対抗で3回戦進出。家族は両親、兄2人。187センチ、85キロ。右投げ右打ち。