阪神藤浪晋太郎投手(20)が珍しい“相棒”とともにプロ3年目をスタートする。25日、沖縄キャンプへの荷物出しが行われ、野球道具とともに現地へ送ったのは「ギター」だった。昨年から趣味として始めたが、長く、厳しい練習の合間の息抜きにするという。また、広島のエース前田健太投手(26)との合同自主トレの成果も語った。きょう26日には沖縄入り予定。エース道を歩むシーズンの幕が開く。

 先乗り自主トレを行う沖縄への出発を控えたこの日、藤浪が選手寮虎風荘を出てきた。キャンプ期間中の荷物を送るためだが、その中に珍しいアイテムがあった。野球道具とともに大事そうに抱えていたのは「アコースティックギター」だった。

 「暇つぶしですね。アコースティックです。野球に関連すること?

 一切ないと思います」

 藤浪は野球への関連を否定したが、長く、厳しいキャンプ期間中には心強い“相棒”となる。2月1日からは早朝から夕刻までのトレーニングに加え、約1カ月もの間、ホテルでの生活を強いられる。だからこそ、リフレッシュも重要な要素になる。ゴルフ、釣りなどを趣味に持つ選手は多いが、藤浪はギターを奏でることで気分転換をはかるようだ。

 「プロに入ってから自分でやってみようと思って買いました。オフの期間、暇な時間があったので暇つぶしに弾いてみようかなと。本とか、動画を見て、弾いています。ミスチルが好きなので、弾けるようになればいいかなと思います」

 まだ始めたばかりとあって、ギターの腕前は一流とはいかないようだが、選手寮では藤浪が奏でる音色を耳にした選手もいるという。大好きな「ミスター・チルドレン」の曲が弾ける日もそう遠くはないだろう。

 また、この日は年明けから12日間の日程で行った広島前田との合同トレの成果も口にした。

 「動作的なトレーニングが多かった。今までそれほど多くやっていたものではないので、いかに重要かがわかった。(キャンプでも)そのままやるかはわかりませんが、取り入れていきたい。動作の再現性を高めていければ」

 マエケンのメニューは投球など動作の中での体を鍛えるトレーニングが中心で、自分の中で新たな発見があったという。それによって動作の再現性を高めることができれば、藤浪のパワー+マエケンの安定感という最強の要素が加わることになりそうだ。

 エースへの道を本格的に歩むことになる3年目。充実した練習の後、1人、ギターと向き合う…。自身にとって実り多きキャンプとする準備は整った。【鈴木忠平】<球界主なギタリスト>

 ◆阪神ハンセン

 98年初来日時、黒いケースにエレキギターを入れてきた。「アイバニーズというメーカーのエレキギター。15年前に買ったものでジャンルは何でも弾くぜ。演歌にも挑戦する」と豪語した。

 ◆近鉄吉井理人

 箕島高時代にビートルズの曲が弾きたいばかりにみかん摘みのアルバイトをしてギターを購入した。

 ◆中日伊藤準規

 09年にエレキギターを持って入寮。報道陣の前で腕前を披露。

 ◆日本ハム・ヒルマン監督

 03年ファン感謝デーでは「テイク・イット・イージー」など5曲披露。高音の美声とギターテクニックに東京ドームの2万人の観衆は大拍手。

 ◆ヤンキースB・ウィリアムズ

 幼少のころからラテン音楽やジャズにのめり込み、03年にシカゴで初のライブを開催し、同年にヤンキース入りした松井秀喜も訪れた。02年の日米野球で来日した際には札幌のジャズ喫茶に飛び入り出演。