日本ハム岡大海外野手(23)が侍ジャパンの“金の卵”に指名された。6日、今季初実戦の紅白戦(沖縄・名護)に「3番右翼」で先発し、2打席目に右中間二塁打をマークした。視察に訪れた侍ジャパン小久保裕紀監督(43)に「ブレークを期待したい」と侍候補として名指しを受けた。2年目の春、代表監督の期待も背負い、右翼のレギュラーを目指す。

 再スタートの打席に立った。今季初実戦の紅白戦。岡が獲物を捕らえるように、外角直球に食らいついた。4回の第2打席。カウント1-1から右中間二塁打を放った。「右方向になったのは良かった」と会心の一打。試合前、視察に訪れていた侍ジャパン小久保監督から「今年こそレギュラー取れよ。頑張れよ」と激励を受けた。「すごくうれしいですし、今まで以上にやらないといけない」。使命感がさらに高まる中、早速、結果を出した。

 夢の舞台につなげる。明大4年だった13年に侍ジャパンの台湾遠征メンバー入り。アマ選出4人のうちの1人として日の丸を背負った。当時から小久保監督と面識はあったが、プロ入り後、岡は2軍暮らしが続いた。それでも小久保監督から「右の外野手は球界でも少ない」と期待され続けていたことに感激。「成長した姿を見せられたらいいです」と意気に感じ、あらためて今季に懸ける思いを強くした。

 プロ1年目はオープン戦で本塁打を放つなど猛アピール。外野が手薄なチーム状況も相まって、開幕1軍を勝ち取った。シーズンに入ると打撃は急降下。15試合出場で打率1割1分4厘と低迷し2軍へ降格した。5月には左足リスフラン関節の脱臼骨折と患部の靱帯(じんたい)断裂の大ケガで1年を棒に振った。2軍でリハビリ中、練習するチームメートを見つめ「僕、給料泥棒ですかね」と自虐的につぶやいたこともあった。2度目の春。強い覚悟が突き動かしていた。

 母の愛情に応える。左足裏のリハビリグッズの1つ、高反発マットは持ち運びしやすいよう、母世理子さん(53)が黒のトートバッグを作製。背番号31がアクセントになったハンドメードで「サイズを測って電話して作ってもらった」と、岡が依頼した一品だ。1軍で自慢の俊足で駆け回る姿を見せることが恩返しになる。

 今シーズンは外野のレギュラー争いが激化。近い将来の日本代表入りへ、まずはメジャー通算65発の新外国人ハーミッダらと争う右翼の定位置を狙う。「取らないと、居場所ないですから」。再起を狙う岡に、再び追い風が吹き始めた。【田中彩友美】

 ◆岡大海(おか・ひろみ)1991年(平3)7月15日生まれ、岡山県出身。倉敷商では2、3年時の夏甲子園に出場。明大では野手と投手の二刀流をこなし、投手として最速152キロをマークした。13年ドラフトで日本ハム3位指名。同年11月には侍ジャパンの台湾遠征メンバーに選出された。プロ1年目の昨季は開幕1軍入りも、左足の脱臼骨折もあり出場15試合にとどまった。今季推定年俸840万円。185センチ、83キロ。右投げ右打ち。

 ◆侍ジャパン外野手事情

 小久保監督の初采配となった13年11月の台湾3連戦(強化試合)は、プロ・アマ混成で若手のメンバー構成となり、外野手は6人。そのうち右打者は全試合4番を務めた中田(日本ハム)ら2人で、3戦目に代打で1打数1安打の岡(明大)は内野手登録だった。昨年11月の日米野球は、外野手登録5人のうち、右打者は内川(ソフトバンク)のみ。親善試合も含め計6戦中5試合で先発左翼の中田は内野手登録だった。