<練習試合:中日3-0DeNA>◇15日◇北谷

 大田が岩鬼なら、こちらは走攻守兼ね備えたドカベン殿馬一人になる-。中日のドラフト3位友永翔太外野手(23=日本通運)が、4打数2安打1打点とハッスルした。「9番右翼」で出場し、二塁打、三塁打と長打を連発。東海大相模(神奈川)で同学年だった巨人大田泰示外野手(24)に刺激を受ける背番号1が、ハイレベルな外野手争いで猛アピールした。

 背番号1はダテじゃなかった。友永が暴れ回った。7回に三上のスライダーを右翼線へ運ぶ二塁打を放つと、内野ゴロの間に三塁到達。直後に浅い犠飛でホームを踏んだ。8回には国吉の直球をつかまえて右中間を破り、滑り込まずに悠々と三塁へ。走攻守を兼ね備えた即戦力ルーキーは「積極的に振れた」と、DeNAの守護神候補2人を簡単に攻略した。

 キャンプの疲れもあり、数日前のシート打撃では絶不調だった。きっかけは13日の打撃練習中。谷繁兼任監督に耳元でささやかれ、ハッと目が覚めた。動画サイトで社会人時代の打撃を見直し、タイミングの取り方を修正。すぐに結果を出した。指揮官も「いいところ(ポイント)で捉えはじめている」。存在感を再び取り戻した。ハイレベルな外野手争いは続く。この日はドラフト6位の井領雅貴外野手(25=JX-ENEOS)も2戦連続安打をマーク。ベテラン和田、選手会長の大島、2軍の平田ら3つのポジションを巡り実力者が並ぶ。大激戦区をルーキーが制することは簡単ではない。

 ただ、この男との出世争いには負けたくない。ずっと意識してきた。それが東海大相模時代に同学年でチームメートだった巨人大田だ。旧友が紅白戦で本塁打を放ったと聞くと「ホントですか?

 けっこう活躍してますね」とにやり。「あいつが僕にプロになりたいと思わせてくれた。タイプは違うけど、同じ外野手ですから」。友永は身長170センチで、中日では最も小柄。188センチ大田との「凸凹コンビ」は、今でも連絡を取り合う仲だ。

 キャンプ日程を見たときから楽しみにしていた。「19日はあいつ来ますよね?

 絶対試合に出ると思うんですよ」。今月19日には巨人との練習試合が沖縄セルラースタジアム那覇である。「出たいというか、まず会えることが楽しみです」。大田がトーモナガ(殿馬?)と呼ぶかどうかは不明だが、ユニホームを着てグラウンドでの再会。思い描いていた夢が開幕前に実現しそうだ。【桝井聡】

 ◆殿馬一人(とのま・かずと)漫画「ドカベン」の登場人物の1人。明訓高の2番打者。小柄ながら俊足で守備範囲も広く、打撃センスにも優れる。「秘打・白鳥の湖」など奇想天外な打法も。<友永翔太アラカルト>

 ◆4月1日

 1991年(平3)4月1日、神奈川県生まれ。学年を区切る最後の日が誕生日は、現役ただ1人。「体が大きい人には絶対負けたくないと思うようになった」。東海大相模-国際武道大-日本通運。契約金5500万円、年俸1000万円。

 ◆16年ぶり

 中日の新人背番号1は98年に逆指名で入団した福留(現阪神)以来、16年ぶり。ちなみに日本通運時代の背番号はチームの好打者が伝統で引き継ぐ「0」だった。

 ◆驚きの身体能力

 1月の視機能測定で動体視力が優れていることが判明。「高速道路で横を走っている車のホイールを見て柄が分かる」と特技を明かす。社会人時代は50メートル5秒8の俊足、遠投120メートルの強肩を誇った。

 ◆孤独好き?

 キャンプの休日は1人で過ごすことが多く、前回9日は「ホテルの2階にあるお店で1人でステーキを食べた」。

 ◆ツイッター

 プロ入り後、「ファンの人に思っていることを分かってほしい」とツイッターを再開。

 ◆サイズ

 170センチ、74キロ。右投げ左打ち。

 ◆東海大相模のチームメート

 在学中に甲子園出場なし。夏は神奈川大会決勝で3年連続敗退。同学年には巨人大田、元ロッテの角晃多内野手がいた。1学年上に巨人菅野、広島田中、2学年上に元巨人の田中大二郎外野手が在籍。2学年下に阪神一二三がいた。