<東京6大学野球:立大8-0東大>◇第7週初日◇21日◇神宮

 立大が東大に圧勝、優勝への望みをつないだ。エース左腕、小室正人投手(3年=日野)が8回5安打無失点。リーグ単独トップの今季6勝目を挙げた。立大で1季6勝の投手は81年秋に7勝5敗の成績を残した野口裕美(元西武)以来59季ぶりのこと。

 1敗すれば慶大の優勝が決まる条件の中、「都立の星」小室が淡々と投げた。三塁を踏ませたのは8回の1度だけ。9回に味方が1点を追加、お役御免となったが「最後まで投げたかったんですが」と、少しもの足りなさそうだ。今季は13試合中、10試合66回2/3を投げた。他大学投手と比べ、群を抜く投球回数だ。

 そんな今季中、体重が1キロほど増えた。「下半身のトレーニングを欠かしていないから」だという。大塚淳人監督(51)と縁のある元近鉄、ロッテコーチの立花龍司氏(46)が、昨年から週1回トレーニングを指導。多くのプロ選手を教えた同氏から「(試合のない)空き週は休むためでなく、さらに筋肉をつけるためにある」と言われ、ダンベルを使った筋トレなどを継続した。「(昨年)秋は試合だけやっている感じでしたが、今回はしっかり練習できた」と体力の増加を実感した。

 通算8勝で、東大初のプロ選手(大洋)で60年代に活躍した元祖「都立の星」の新治伸治氏(故人、小石川高卒)に並んだ。1季6勝は立大史上に残る左腕、野口氏以来59季ぶり。「6勝なんてできると思っていなかった。勝ち数より、投げた試合で負けないように、とやってきたことがつながったと思う」。優勝の望みをつなぐ責任も果たし、充実の表情だった。【清水智彦】