<首都大学野球:東海大5-0武蔵大>◇最終週2日目◇22日◇平塚

 今秋ドラフトの目玉、東海大・菅野智之投手(4年=東海大相模)が、崖っぷちの武蔵大2回戦で4安打完封し、逆転優勝に望みをつないだ。途中で降り始めた豪雨により、8回表無死でコールド終了。7回6奪三振無失点の菅野は、今季4度目の完封となった。今日23日の3回戦で勝利し、日体大が筑波大に敗れれば9季連続Vに手が届く。

 逆転Vへ望みをつなぐ白星は、降りしきる豪雨でもたらされた。5-0で突入した8回表。菅野が3球投じた時点で、試合は中断。このままコールドとなった。「中止になっちゃいましたけど、いい形で明日につながる勝ちですね」と、ホッとした表情だ。

 この日は最速150キロをマークし、散発4安打6奪三振。8回の先頭打者を抑えれば、左腕の望月に交代予定だった。通算11度目、今季4度目の完封を、思わぬ形で達成した。この日シーズン最多の5完封を打ち立てた日体大・辻に、あと1つと迫った。

 5安打6失点で3回降板した、前日の試合後。菅野は、寮の監督室に向かっていた。2年前の関東大会で、創価大に敗れたとき以来の自主訪問。横井人輝監督(49)に「すみませんでした」と一礼すると、フォームや精神面の修正点を相談した。同監督は「調子が悪いときだけひょこっと来る。普通は逆なんだけど、それが彼のいいところ」と評する。高校時代の恩師、東海大相模の門馬監督や、3月に卒業した先輩からの激励メールにも背中を押され、気持ちを切り替えた。

 これで武蔵大に1勝1敗。首位の日体大も筑波大に1勝1敗としたため、優勝の行方は3回戦に持ち越し。第1試合の東海大は、先に勝ってプレッシャーをかけたいところだ。3連投すれば、スタミナ切れで涙をのんだ昨年の全日本大学選手権決勝以来となるが「泣いても笑っても最後の試合。野手や捕手への感謝の気持ちを込めて、最後まで力を出したい」。強い覚悟で、菅野は今日も先発マウンドに立つつもりだ。【鎌田良美】