第60回全日本大学野球選手権が今日7日、神宮と東京ドームで開幕する。元広島監督の古葉竹識監督(75)率いる初出場の東京国際大(東京新大学)は神宮の第3試合で龍谷大(関西6大学)と対戦。6日、新宿区の日本青年館で行われた開会式に出席した古葉監督は「ここまで来たら日本一になりたいと思うのは当然」と頂点を狙うことを誓った。また東日本大震災で最も被害の大きかった南東北リーグの代表、東日本国際大の天野勝仁主将(4年=日大東北)が選手宣誓を行った。

 最年長の古葉監督が初めて臨む開会式だった。参加校主将のあいさつ、選手宣誓を目の前で聞いた。「どれもこれも初めてのことばかり。びっくりしてます。選手宣誓(東日本国際大・天野主将)も立派でした」。初陣監督らしさが垣間見えたが、こと勝負の話になると、日本一3度のプロ出身監督の顔に戻った。

 古葉監督

 やる以上は日本一になりたい。そこに行けるようにやりたい。いろんな人が応援に行きたいと言ってくれるし、ウチの大学の人たちもそう思っているでしょう。選手と一緒に戦いますから。

 正式就任は08年4月だった。当時の新入生が最終学年を迎えた今年、初の全国舞台をつかんだ。東京新大学リーグで10勝2敗。完全優勝だった。選手の奮闘は当然ながら、戦力を見据えたプロ出身監督の起用がはまった。期待していた尾田佳寛投手(3年=広島工)が開幕前に腰の不安を訴えると、柱を伊藤和雄投手(4年=坂戸西)に切り替えた。新エースは7勝1敗、防御率1・10の好成績を残してチームを引っ張った。

 古葉監督

 やっぱり投手です。(伊藤は)もともと力はあった。球も速いし、真島(健投手、2年=浦和学院)と2人を中心にやってくれた。他校も投手はいいし、投手の頑張りです。

 グラウンドは埼玉県坂戸市にある。第1球場は両翼98メートル、中堅122メートルで外野が人工芝、第2は両翼95メートルとわずかに狭いが、神宮と同じ人工芝だ。さらに、室内練習場も併せ持つ。「学校には立派なグラウンドを造っていただいた。選手にはこれが当たり前だと思ってもらいたくないですが」と話す。ここで三男である隆明コーチ(42)とコンビを組み選手を鍛えてきた。

 古葉監督

 昨日、一昨日と紅白戦をやった。調整は順調です。選手にはやれることを精いっぱいやろうと言っています。練習でやってないことはやれない。龍谷大との初戦は1点勝負です。

 古葉監督が神宮球場のベンチに入るのは大洋(現横浜)の監督だった89年以来となる。「広島時代に浩二(山本)が腰が痛いというのに、試合に出した。バントならできると思ってスクイズさせようとしたら、できないという。それで打たせたらホームランになってねえ」。そんななつかしの球場に、孫ほども年が違う大学生を率いて実に22年ぶりに戻る。

 「名将古葉監督の下、優勝しました。その勢いと全力野球で日本一を目指します」。教え子の1人、山田亮太主将(4年=大牟田)がライバル校を前に、古葉監督と全く同じ目標を披露した。【米谷輝昭】