<東京6大学野球:明大4-1早大>◇第1週初日◇10日◇神宮

 今秋ドラフト1位候補の明大・野村祐輔投手(4年=広陵)が、早大相手に6安打6三振で完投した。3回に暴投で1点を許すなど本調子ではなかったが、105球で開幕戦勝利を飾った。通算307奪三振で歴代13位タイとし、通算25勝目で早大・斎藤佑樹(日本ハム)に次ぐリーグ史上7人目の通算30勝&300奪三振に1歩前進した。

 野村がラストシーズン初戦を白星で飾った。「決め球が抜けたり浮いたり引っ掛かったり」と、制球がままならなくとも抑え切った。ドラフト1位候補らしくハートの強さを見せたのは、相手3番土生との対決だ。8回裏1死、高校同期と「もしかしたら(学生)最後の可能性があったから」とサインに首を振り、全球直球勝負。3球目にこの日最速148キロを計測し、最後も146キロで三ゴロに封じた。

 “プロ”らしさはマウンドだけではない。7月、サッカー女子日本代表の「なでしこジャパン」がW杯で優勝した直後の練習でのこと。アップに全身青のトレーニングウエアと「JAPANブルー」に身を包み登場、周囲を和ませた。

 そんなおちゃめなサービス精神とは裏腹に、チームへの帰属意識と紫紺のユニホームに強い誇りを持つ。仲間とともに島岡御大の胸像へ「参拝」し、紫色のぶどうを1粒口にする明大の出陣の儀式は、この日の朝もきっちり行ってきた。

 試合後の会見を終えると、会場のテレビに目を向けた。リーグの先輩である日本ハム斎藤と楽天田中の投げ合いだった。「同じ舞台でやりたい」と大きな目を輝かせた。その斎藤に次ぐ「30・300」まで、あと5勝だ。【清水智彦】