<神宮大会:明大5-0東北福祉大>◇4日目◇26日◇大学の部準決勝◇神宮

 明大(東京6大学)が東北福祉大(東北3連盟)に快勝、15年ぶり5度目の「秋の日本一」に王手をかけた。広島からドラフト1位指名を受けた野村祐輔投手(4年=広陵)が7回を投げ被安打2、11三振を奪って零封し、決勝進出に導いた。今日27日、創価大(関東5連盟)を破った愛知学院大(北陸・東海3連盟)と対決する。

 マウンドを降りた野村に満足感はなかった。7回0封。被安打2本、11三振を奪った。ヤクルト5位指名の中根にも投げ勝った。それでも、笑顔はなかった。「まだ通過点なので。やっと来たな、という気持ちです」。こういって野村は前を見据えた。

 今日27日の決勝戦。大学最後となる試合に、自身初となる日本一をかける。広陵3年だった07年夏、甲子園の優勝は目前だった。8回表を終えて4-0。ところがその裏、逆転満塁本塁打を浴びるなどで5失点。勝利は消えた。「(日本一が)取れるところを落としたんで悔しさが強くて」。あの屈辱は忘れられない。

 今大会初先発のこの日もその思いが投球を支えた。5回まで走者を出すこと4度。速球は144キロ止まりだった。するとカットボール、チェンジアップを交えて、丁寧に低めを突いた。「点をやらない気持ちが強かったんで、結果的に(三振が)多くなりました」。そんな投球を、広島苑田スカウト部長がスタンドから見守った。「うまいね。立ち上がり、球が走ってなかったけど組み立てられる。押したり引いたりが自在にできる」と絶賛した。

 野村は決勝も登板するつもりだ。「4年間で一番いい投球ができたらいいなと思います。6大学の代表のすごさをみせつけたい」。4年目に訪れた最初で最後のチャンスにすべてをぶつける。【米谷輝昭】