<東都大学野球:中大3-2東洋大>◇第1週初日◇1日◇神宮

 中大のトルネード左腕、島袋洋奨(ようすけ)投手(2年=興南)が、東洋大との開幕戦で延長15回を投げ、21個の三振を奪った。打線は15回裏にようやく奮起。無死満塁から、5番DHの上嶋健司(4年=常葉学園菊川)が中前打を放ちサヨナラ勝ち。島袋の快投が、今季からチームを率いる元中日の秋田秀幸監督(56)に初白星をプレゼントした形となった。

 疲れも吹き飛ぶ幕切れだっただろう。226球を投げ抜いた島袋が、劇的な開幕戦勝利にベンチからガッツポーズで飛び出した。「とりあえず、いいスタートが切れました」。表情に疲労感を漂わすことなく、サラリと言い切った。200を超える球数も、20を超える奪三振も「初めて」だった。

 圧巻の投球だった。11回を除く毎回の奪三振。積み上げた21個の三振のうち、17個が空振りだった。7安打を浴びたが連打は1度もない。自己最速にあと1キロと迫る147キロ速球に加え、内外にツーシームとスライダーを決め相手打線を翻弄(ほんろう)。2回に2点を奪われると「制球が良くない」と、3回から走者なしでもセットポジションで投げた。時折クイックで投げ、トルネードのタイミングで待つ打者のタイミングを外した。

 2年連続の開幕投手は、昨年の反省も生かしていた。ルーキーだった昨春は、駒大に足でかき回され4回2/3を4失点でKO。キャンプ中に肩の痛みを抱え、100球の投げ込みもしないうちにシーズンが始まっていた。以降波に乗れず、甲子園春夏連覇の左腕も、年間3勝にとどまった。今年は2月のキャンプから、1カ月で2000球投げることを目標にやってきた。「指のかかりもつかめているし、フォームもしっくりきている」と手応えを持って臨んだ結果だった。

 今年は“初”を大切にしようとしているという。「初球とか、いろいろありますが、初戦、監督の初白星とあって良かったと思う」と納得の表情だった。秋田新監督も「島袋がよく投げてくれた」と繰り返すばかり。1年の雌伏を経たトルネード左腕を軸に、昨季最下位の中大が東都に嵐を巻き起こす気配だ。【清水智彦】