<東都大学野球:亜大1-0東洋大>◇第6週最終日◇10日◇神宮

 亜大が東洋大に連勝で単独の勝ち点3とし、秋春連覇に王手をかけた。九里亜蓮投手(3年=岡山理大付)が4安打13奪三振でリーグ戦初完封。6回まで18人切りの快投で今季2勝目とした。未消化だった15日の中大3回戦に勝てば、最終週を待たず優勝が決まる。東洋大は春6連覇の可能性が消滅。日大は先発全員安打、全員得点で青学大に大勝し、今季初勝ち点を挙げた。

 土砂降りの雨も、九里の快投を止められなかった。3回を9人で抑え、4回に入る直前。激しい雷雨で46分間の中断を強いられた。「初めてでどうすべきか分からなかった。でもシャドーで体を動かし続けて、準備してました」。再開後も雨は降り続いたが、集中は切らさない。4連続含む13奪三振で初完封を挙げた。

 これで亜大は勝ち点3の首位。15日の中大3回戦に勝てば秋春連覇となる。王手の力投は「東浜さんに負担をかけたくない」一心だった。前日30勝20完封を成し遂げたエース東浜は師匠的存在。食事も練習も常に“くっつき虫”スタイルで後を追い、慕ってきた。だが今季は先発した日大、中大2回戦で勝ちきれず、迷惑をかけたと悔いていた。

 流ちょうに日本語を操るが、色白の肌と茶色の瞳はどこかエキゾチック。米国で暮らす父マーク・アントニオ・シェックさんは、ブレーブス傘下マイナーの遊撃手だった。3歳から父のマネをし、小3でチームに入るまでスパルタ指導を施された。父を尊敬してやまないが、二十歳を機に選択したのは日本国籍。「行けるなら日本のプロでやりたいです。日本で敵がいなくなったらアメリカもいい。ダルビッシュ投手みたいに」。186センチのビッグな右腕が、東浜とともに亜大を連覇へ導く。【鎌田良美】