東京6大学野球は今日2日から、伝統の早慶戦が神宮で行われる。既に3季ぶりの優勝を決めている早大には全チームから勝ち点を挙げる完全優勝、主砲の杉山翔大内野手(4年=東総工)には5年ぶりとなる3冠王の期待がかかっている。

 早大の狙いは完全優勝に絞られた。第6週の明大戦で3季ぶりの優勝を決めたが胴上げはなし。岡村猛監督(57)は「リーグ優勝と早慶戦で勝ち点を挙げるのが二大命題。早慶戦はカレッジスポーツで注目を浴びる。早稲田は1球入魂、慶応はエンジョイベースボールとスタイルが違う。どちらがリーディングチームか問われる」。モチベーションは高く保たれている。

 主砲、杉山のバットがワセダの命運を握る。4本塁打はリーグトップ、10打点は3位(1位は明大・小室の15)、打率3割7分9厘は4位(1位は明大・高山、小室の4割1分7厘)と、リーグでは07年田中幸長(早大)以来戦後13人目の3冠王も狙える位置につける。それでも「もともと狙うとかではなく、チームが勝つ上での結果。勝てば自分も打っていると思う。まず勝つのが第1条件」と自然体を強調した。

 パワーの源泉は、周囲77センチという驚異の太ももだ。入学時は65センチ。筋力トレーニングではなく、素振りや打撃という野球の動きで太さを増した。昨秋から採用するノーステップ打法には「下半身が大事」とオフは3時間も振り込みを続けた。最終目標のプロ入りへ、3冠王&完全優勝で弾みをつける。【斎藤直樹】

 ◆東京6大学の3冠王

 戦後では55年春の衆樹資宏(慶大)から12人。岡田彰布(早大)小早川毅彦(法大)大森剛(早大)高橋由伸(慶大)らプロでも活躍した強打者が多い。最近では03年秋の鳥谷敬、07年秋の田中と早大勢が続いている。